シラ(SYLLA)のボードゲームのレビュー・・・の前に「なぜシラ(SYLLA)という名前のボードゲームなのか」を考察

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すごいパッケージ

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ボードゲームの名前はシラ(SYLLA)、彼の名前は実際にはルキウス・コルネリウス・スッラ・フェリクス。つまりスラまたはスッラです。
これはイスタリ作品!!(イスタリ社はボードゲームフリークの間でファンの多い
フランスのボードゲームメーカーです。ボードゲーム名に無理やりyを付けることで有名です)!!なので無理やりyをつけたのでしょう笑
ローマ人の物語を読んだ方なら外せない人物ですが、普通の方なら知らないでしょう。
そしてこのボードゲームに彼は登場しません笑

「なぜこのボードゲームの名前はシラ(SYLLA)なのか。」
プレイした皆さんは思うでしょう。私もスッラのことを知らずにこのボードゲームを行っていたらなんだろう?と疑問に思ってたでしょう。
ただこのスッラという人物の歴史的背景を知っておくとさらにこのボードゲームは面白いかもしれません。

今回はそんなお話

地中海最大の国になったローマ。

しかし国が大きくなるほど内紛は絶えません。
やがてスッラは執政官となり元上官のガイウス・マリウスと対立することとなります。
マリウスは民衆派であり多くの平民の支持を得ていました。
ではスッラは誰を味方につけるか。
民衆と対立する元老院の支持を得ることにしたのです。元老院派、でしょうか。

スッラは徹底的に民衆派を粛清するために密告制を執ります。
するとどんどんと民衆派の名前が彼の手元に集まっていきます。
処刑・処罰の対象となるリストです。
その中で、ある一人の人物が浮かび上がります。
「ガイウス・ユリウス・カエサル」です。
賽は投げられた、や、ブルータスお前もか、の人ですね。

彼は当時政治には参加しておらず、莫大な借金を抱えた愉快な青年という立場だった。
スッラは彼を処刑しようとありとあらゆる方法を執りますが、民衆の支持が高く、おもしろい青年はなかなか処刑できない。
ついには「べつに彼は民衆派かどうかも微妙だし、わざわざ処刑するほどでもないのでは」と仲間内でも言われる

「分からないのかね。彼の瞳には100人のマリウスがいることを。」とスッラは言うのです。天才は天才を見抜く、ということでしょうか。

なんとかカエサルは処刑からま逃れて処罰(婚約者との離縁)のみ助命となったのですが、カエサルは処罰すら拒みます。
ここでカエサルVSスッラの構図が生まれて勝負だあ!となるところですがカエサルはすたこらさっさと逃げるのです。

それ以降カエサルとスッラは対峙することはありませんでした。
スッラが死ぬまで彼はローマには戻らなかったためです。
英雄は逃げ時も勝負時も全てのタイミングが絶妙なのです。

そしてスッラは愉悦愉悦と言わんばかりに民衆派を次々に処刑していきます。
敵が物理的にいなくなるわけですから、彼の独裁体制が整っていくのです。

スッラは自らが信じる共和制を誇りに持ち、より強固な体制を築こうとします。
みなさんは共和制はすぐに終焉を迎えることは周知の事実ですが、その体制で生まれ育ち、幸せなときを過ごせたスッラにとっては共和制こそが人類の至高の政策と信じてやまなかったのです。

共和制が成功したら彼は英雄になっていたかもしれません。

共和制の地を更に固めるために、彼は終身独裁官に就きます。
独裁官はあまりにも権力が強いため当時のローマでのルールでは、独裁官の任期期間は1年でしたが、もう本当に無理やり任期を終身にしたのです。なんでもあり。

しかし、彼は自ら終身独裁官に就いたのにもかかわらず、半年足らずで退きます。
ん?どしてだ。権力の虜になれたのに。彼を脅かすものは誰もいなかったのに

彼が基から目指したものは共和制。
「権力が一人に集中しない、合議制による政治」でした。
彼がこのまま権力を持ち続けていればそれは彼の目的としたものと反することになります。英雄は権力の虜にならず、自身を自制できる人物です。

ローマの共和制に最後の安定をもたらしましたが、スッラが信じた共和制は皆さん御存知の通り、崩れ去ります。
それはスッラが唯一殺せなかった少年の手によって。

ルキウス・コルネリウス・スッラ・フェリクス

フェリクスはアダ名みたいなもので幸運を意味します。
スッラは幸運でした。
彼は彼が信じた共和制を夢見ながら、家族に看取られ病死したこと。
そして彼を裏切る部下や仲間がいなかったこと。

すべての敵を許したカエサルが彼が許した敵の手によって暗殺された歴史的背景とは対照的で、そしてカエサルの名前は誰しもが知り、スッラは無名の人となりました。
このボードゲームは自身が元老院となり、名誉を獲得する、という設定です。
つまり、彼が執行官から退き余生を過ごしている中で起きていることでしょう。

シラ(SYLLA)は生きている中でのお話です。
そこには元老院の衰退、そして共和国が浮き彫りに成るような強いシステムが多くあります。
シラ(SYLLA)がもし健全に生きていたら、彼はこの危機をどのように回避して乗り越えるのか。
「もし共和制が成立したローマがあったら、スッラが生きていたら」きっとこのボードゲームはそんな意味もあるのかもしれません。

次回はシラ(SYLLA)のレビュー感想を記載致します!乞うご期待。

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