ゲームマーケット2017年春の新作ボードゲーム「楽園の方舟」のレビュー及び感想、ルールです。可変式で独特なインタラクションのあるワカプレです。リソースを巧く利用してマジョリティを争うミドル級のゲームです。
デザイン | ナナツチ |
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イラスト | TDS |
人数 | 3~4人 |
時間 | 30~45分 |
年齢 | 10歳~ |
価格 | 2500円 |
発売 | 2017春 |
予約 | https://goo.gl/forms/3ESpcV3caBqVrvEg1 |
はじめに
ボードゲームって、何回かやらないと面白さがピンとつかめないものがありますよね(オデンのようにはじめから何度もやることを目的とした作品は別として)。
もしくはゲーム中盤になってやっと面白さがつかめるものとか、単に私の飲み込みが遅いというツッコミはさておきまして・・・。
こちらの楽園の方舟も実はそのうちの一つでした。
ゲームがインストのわりにすぐに終わるため、このゲームの面白さに気づく前に得点計算が始まり終了。
結局このボードゲームは何がさせたかったんだろう?
確かにアクションスペースがなくなったり、そしてワーカーを置くのに他者とのインタラクションが程よくあったりはわかるのですが・・・とかなんとか考えて2度目をプレイするうちに「あ、これはおもしろい!」と笑
マジョリティ争いとアクション時の他者へのインタラクションが程よい形で戦略に落とし込めるボードゲームです。
システム
セットアップからルールまでの動画がまとめてありますのでこちらを御覧ください。
ルールも公開されております。
一人勝ちのゲームです。
1.持っている積荷のポイント
2.積荷のマジョリティ(4人プレイは3位まで有り)
3.方舟の貢献度(完成した方舟に置いたキューブの数)のマジョリティ
4.個別使命カードの達成条件
以上を合算して最も多い得点のプレイヤーが勝利します。
このゲームはワカプレなのですが少々特殊な配置となります。
ワーカーは全て3個ずつ持っているのですがプロットアクションと特殊な制限があります。
画像は右にワーカーが移動し終えた状況です。
1.左ボードの一番数の少ないところと数の大きいところへワーカーを置く
2.全員が配置し終えたら右に詰めて置かれたアクションを実行する。
例えば青ミープルは森3が2つほしいとします。
そのためスタピーの場合はD1に青ミープルを置けばとりあえず森3に置かれるので確保するのですが、もう一つ、画像では見にくいのですがB1に置けば森3に移動できます。
しかしながら次は一番数が大きいところに置かなくてはいけません。
仕方がないのでB6に置きます。
そしてそのまま誰も置かなければそのまま右に詰められてとれますが、次の手番プレイヤーがB1に置いた場合は、右に詰めて実行しますので何になるかわからない、という具合です。
そして実行されたアクションカードは捨て山に送られて、その左隣のアクションカードが右に詰められて、新たに空きスペースにアクションカードが補填されます。
つまり、事前にアクションカードは次回どれが使えるかが予測できるので、次回アクションの実行を考えるダウンタイムの解消につながります。
また、アクションカードが尽きた場合は「前期」から「後期」へ異なるアクションカードが新たに配置されることによってゲーム上の緩急がつきやすく楽しめます。
さて、アクションによって祭礼品を増やしたり、動物、植物を増やしたりするのですが、こちらの個人ボードで把握出来ます。
祭礼品は一つ獲得すれば得点は高いのですがマジョリティは低い、そして植物は一つの得点は低いのですがマジョリティが高いという構成となっております。
発言力が特殊です。
お気づきの方は多いかと思いますが、このゲームはスタートプレイヤー優位のゲームです。
アクション終了時、発言力が最も高いプレイヤーがスタートプレイヤーとなります。
直接の得点にはつながりませんが、他にも発言力はフリーアクションとして「8発言力を消費することにより任意の種類の積荷を2つ獲得する」などがあります。
個人ボードは横にも縦にもおけるので、スペースをうまく活用できます。こういったプレイヤーに対しての配慮は非常にありがたく、製作者の真摯な姿が垣間見れます。
さて方舟を完成させることも重要な得点源となります。方舟を完成させるためにはキューブを置くアクションを実行しなければなりません。
方舟はキューブを置くことで資源を勝利点へ変換したり、スタートプレイヤーを変更したりと特殊なアクションを実行することが可能です。
さらにキューブはほとんど返ってこないので、誰がなんの方舟を完成させたいかを見極めることが必要でしょう。これもこのゲームの読み合いの面白さの一つです。
完成されて置いてあるキューブごとに得点になりますので、あまり無駄なところには配置したくありません。
他にも使命カードとして、成功すると多少得点になるようなゲームの指針となるものが各プレイヤーに配られます。
以上のようにアクションの実行を繰り返して、それぞれのマジョリティを計算して得点が多い人の勝利となります。
インタビュー
並び替えのジレンマと、オリンパスのような個人ボードによる個性あふれる戦術を愉しめる良いゲームでした。
正直なところ、こちらは1プレイじゃ面白さがわかりませんでしたが、回数を重ねると深みにはまる楽しいゲームでした!
このゲームを作成した経緯、どんな人に遊んでほしいか、何か一言アレばお願い致します!
プレイして頂きありがとうございます。
1プレイで面白さをわかって頂けなかったのは大変残念ですが、当方のデベロップ力不足によるものであると真摯に受け止めたいと思います。・ゲームを作成した経緯
ボードゲームと呼ばれるものは世に数多ある訳ですが、自分がちょうど遊びたいようなゲームはどんなものかと考えまして。
「手番でやることは単純」「悩んだり頭を使う要素がある」「いろいろな得点経路がある」「手筋が毎回固定されない」
今回は上記の点を踏まえた上で、少々の複雑さ(面倒臭さ)を組み込んだゲームを作ろう!という所から製作がスタートしています。
完成形を見ても、おおむね初期の要点は満たしているので、個人的には大変面白いゲームができたなあと感じています。・どんな人に遊んで欲しいか
もちろん、色々な人にさまざまな形で触れて、遊んで、楽しんで欲しいと思っています。
「楽園の方舟」は、手番で行うことは非常に単純で、なおかつ失点の要素もありません。一つ一つの行動が得点に即繋がるので、息苦しさをあまり感じません。
何をすればいいのかよくわからない、という悩みを解消する使命カードも与えられるため、初めてのプレイでも何を優先して集めればいいのかがはっきりとしています。
以上の点から、ある程度カードゲームをやってきて、ボードやコマを使うゲームも遊んでみようかな…というぐらいの方にも十分に楽しんで頂けます。
また一方で、「楽園の方舟」はいかにして他者を出し抜き、自分だけが資源のマジョリティ・トップを得るのかを競い合うゲームでもあります。
ゲームに慣れてくると、常に他者の動向を伺い、どの資源を優先するのかを定め、自身の最大利益を得るための一手を追求することが勝利のために必要になってきます。
単純な手番行動の中で悩み考え抜いた一手が、思い通りの結果をもたらした時の達成感たるや。楽しくて楽しくて仕方ありません。
カジュアルに遊ぶことも、いわゆるゲーマーズ・ゲームとしてどこまでも真剣に楽しむことも、「楽園の方舟」の遊び方の一つです。
ぜひとも、一度お手にとって頂き、遊んで頂ければと願っています。・何か一言
せっかくなので、ゲームプレイ時のコツなどをいくつか。
1.基礎点は正義。
2.植物を入手しすぎても勝利点は伸びない。
3.発言力をおろそかにしてはいけない。
4.使命カードは参考程度に考える。
5.造船に着手するなら早めに動く。1回のプレイでちょっといいかも?と思って頂けたら、
できれば同じ面子で何回かプレイして頂きたいゲームです。
慣れてきたなと感じたら、使命カードを使わずに遊んでみてください。「楽園の方舟」を、どうぞよろしくお願いいたします。
個人的な質問なのですが、森林は確かにトップの配点が高いのですが、あまりここに注視する戦略は得策ではないような感じを受けました。取れず仕方なく、というときのほうが有意義な気がして、このあたり製作者さまとしてはいかがでしょうか??
ありがとうございます、植物に関しては、マジョリティトップの配点が高い代わりに基礎点が低いため、これに注力しすぎると最終的に伸び悩むことが多いです。
そのため、おっしゃるように植物を副次的な点数源として割り切るプレイが有意義なように見えます。
しかし、逆に言えばそうした観点で行われるゲーム上において、あえて初期に植物を数多く保有し、他プレイヤーに完全に植物を諦めさせるというのも一つの策として考えられます。
より数値的な観点からとらえれば、植物を獲得するのに消費する手番が一定の数までで納まるならば、その得点効率は他の資源よりも非常に高いものとなります。
また、植物は獲得する機会・一度に獲得できる総数が他の資源よりも高いため、発言力アクションによる資源変換の弾として有効に活用できます。
なので、植物をメインに獲得する戦略もなしではありません。しかし、基礎点の兼ね合いもあり、これだけを獲得することは得策ではない、というのが製作者としての考えになります。
(これとは逆に、祭礼品は基礎点が高いため、これだけをガンガン集めていってもある程度までは勝負になります。)
感想
コンポーネントもきちんと作られており、ワーカーやキューブ、個人ボード等無駄なく用意されております。さらにシステムもマイナスに繋がるような失敗がない分、何をやっても得点源に繋がるので息苦しさもありません。
これはゲーマーズでなくとも、ボードゲームを始めたばかりの方からも楽しめる良いゲームだと感じました。
だからといって簡易で質素なものになったわけでもなく、非常に対人ゲームとして思惑が交差するシステムに作り込まれているので、深く楽しい戦略で臨めます。
これだけコンポーネントが揃って価格も2500円と手頃です。
今年のダークホースはこの作品かもしれません!
http://gamemarket.jp/game/%E6%A5%BD%E5%9C%92%E3%81%AE%E6%96%B9%E8%88%9F/
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