今季のダークホース!ジレンマでPOPな疑似協力「TREND COLOR」

我楽多ボックス様のゲームマーケット初出展!しかも新作のボードゲームです。
ゲムマはこれだからおもしろい!他では類を見ない新しくも斬新で奇抜なシステムです。

デザインピサミン
イラスト8ee
人数3~4人
時間30~45分
年齢8歳~
価格3000円
発売2019春  2019春 土-L04 体験卓あり

はじめに

ゲムマってのは奇妙な作品が多くあります。
奇妙というのは語弊があるかもしれません。

既存のシステムに囚われず、自分だけのイメージで制作されたシステムや面白いテーマ、商業としては絶対に成功しないような突出して辛いゲーム等たくさんあります。

それがゲムマの魅力であり、唯一の素晴らしさだと思っています。

どういう思いで制作したのか、どうしてこういうゲームにしたのか、それぞれのゲームにたくさんの想いがあり、色んな物語があります。

「やってみよう」

ゲームマーケットの作品はこれに尽きるかもしれません。

空気なんて読まなくて良いんです。

自分がやりたいことをやってみる。後悔なんてするはずありません。

だからどんな作品も一作ずつ光輝いて見えるんですね。

ゲームマーケット事前レビューで最後に紹介するこのゲームはそんな想いがたくさん込められているように思えます。

やりたかったことをやってみて出来上がったため、なかなか他では味わえないゲームです。
今年のダークホースです。

それでは紹介していきましょう!

システム

見た目はPOPですがかなり渋いジレンマゲーです。
自分のトレンドカラーを隠しつつ、世の中のトレンドを制御します。
トレンドは世論(運)によって決定しますが、そのトレンドに負けじとショップに展開して世論に抵抗します。
そのトレンドを成功させるためには近いトレンドとの結託も必要です。
知略、運を乗り越えトレンドを制した最高のファッションデザイナーが勝利します。

最初に担当するモデルを2枚引きます。
これは最後の得点に大きく影響するので他のプレイヤーに見えないよう隠します。

アクション

アクションは非常に簡単です。
袋からトレンドカラーで分かれているチップを取り出して、そのチップをどのショップに置くか決めます。

このときショップカードが埋まるようにチップを配置した場合、ショップカードから今まで埋まっていたトレンドチップを取り出します。
そしてその中から手元に置くチップとメインボードに置くチップを分けます。

メインボードに置く

横一列、真ん中でちょうど分かれて4行8マスで左右にちょうど分かれて構成されています。
この右と左に置くのですが、既に色が決められている場合は必ずそこに置かなければなりません。
なざなら、その色が置かれた多さで最後のラウンドのトレンドが決まるからです。

ちょっと説明が難しいのですが、横一列左右4マス計8箇所空いている場所があり、それぞれ左右で4マス2色で構成されています。

例えば黄色のトレンドが片面4で、片方のトレンドが赤1だったとします。
そしてもう一つがピンク3の黒3だったとします。

一見黄色がすべてのマスを埋めているのでトレンド1位と思いきや、実はこの横一列の合計でトレンドを決めます。

黄色と赤の一列は合計5で、ピンクと黒の一列は合計6なのでこの2列を比べた場合はトレンド一位はピンクと黒となり基本点が入ります。

手元に置くことを選んだ場合

さいごにこのトレンド一位の点数✕持っているチップの数が基本点として入ります。
自分のトレンドカラーと同じだった場合は点数が2倍になります。

こうして相手のトレンドカラーを見極めてメインボードに置くか、チップとして保持するかを考えながら置くのですが、もしチップがこれ以上置けなくなった場合は

すべて0にするか0にしないようそれ以上チップを置くかを選べます笑

これが面白くて、トレンドがどこもある程度満杯になるよう作られているので、壮絶なトレンド闘いになり、思わぬ色がトレンド1位になったりまします笑

最後に、先程の基本点と、1枚もメインボードに置かれていない希少色(1枚2点)、先にショップを埋めたボーナスカードで合計点を競い、一番高いプレイヤーが勝利となります。

感想

奇抜!素晴らしいアイディア!ジレンマもちょうどいい!
けれどあまりにも渋すぎて絵柄と内容がミスマッチしてしまうのがもったいない。

後はチップは結局袋から取り出すので、自分のカラーと噛み合わず、いつも袋から取り出した色で戦略が右往左往してしまい、結局運なので戦略もへったくれもなくなってしまう。
(ここらへんの疑問点はインタビューでお答え頂いています)

それでも才能あふれる面白いジレンマとアイディアは確かにそこにある。

「やってみよう」というキラキラと輝く愉しさが宝石のような作品です。

ちょっとありふれたシステムに飽きたゲーマーの皆さん!!注目作ですよ!!

インタビュー

あまりにも面白く、逆に聞きたい所や疑問点が多いためちょっと長めですが、誠実丁寧にご回答いただきました!

今回ゲームマーケットへの参加を決めた理由、経緯をお願い致します。

ゲームシステムは昨年の夏頃にほぼ出来上がっていたので、急げば2018秋に間に合わせることも可能なタイミングでした。
しかし、細かい調整や出展の準備を急ぐことで、納得のいかない形でリリースしたくないという思いがあり、長い目で2019春に照準を合わせて出展する事にしました。

なかなか渋いシステムで面白かったです。
相手を消せば自分も苦しめる、というのがなかなかしびれます。
このシステムを考案されたきっかけを教えて頂けますか。

正直に言えば、チップを破棄するシステムは、元々別の理由で生まれました。

このゲームは、序盤の指針が立てにくいこともあり、満遍なくチップを取るプレイが想定されました。
全プレイヤーがそれをしてしまうと、ボード上のチップ数(=トレンド)に差が生じず、面白さを阻害してしまうように思えました。
そこでダイナミックに盤面を変化させる、破棄のシステムを導入することで、トレンドのバランスを意図的に崩すことを試みました。

それでテストプレイしてみたところ、想定以上に戦略的に機能してくれました。
また、特定の色を落としたいのか、それとも残したいのかで、5枚目のチップを必死に置きにいく緊張感が生まれ、良いプレイ感に繋げることが出来ました。

元々、ゲームの進行が単調であることが課題だと考えていたため、ゲーム中に山場を作るアイデアを模索していました。
その解決法としても満足のいくシステムだったため、気に入って採用しました。

ネガティブな意見で恐縮ですが気になった点があります。
せっかく良いシステムのゲームなのに、もしかしたら私と同じ思いをなさり、低い評価のままで終わる方もいるかもしれません。
そのためそんな方への解消(私も含めて)ご回答頂ければ幸いです。

.テーマについて
とても綺麗で美しいアートワークでした。
分かりやすく良かったです。
ただゲームシステムがその反面かなり渋いものでしたので、初回プレイではこのPOP
な感じと合わずちょっと微妙な雰囲気になってしまいました。
何か今回のテーマにこだわりがあるのでしょうか。

自分はカラフルなものが好きなので、様々なカラーを使いたいという気持ちがありました。
そのためゲームシステムを作った時点で、8色を用いることが決まっていました。

8種類もの属性があり、それらの価値が激しく上下するものって何だろう?と考えて、すぐにファッションに行き着きました。
システムをきちんと表現できるし、一般ウケも良さそうなので、ほとんど迷わずに決まりました。

システムが先行しているので、テーマそのものには強いこだわりはありません。
分かりやすくて、人を不快にさせないものなら良いかな、というくらいの気持ちです。
イラストに関しては、女性をシルエットのみで描くこと、アイコンの種類、ボード全体のデザイン、各色のCMYK値は指定しました。
これらは主に『ゲームを遊びやすくする』という目的です。

絵柄そのものはイラストレーターさんにお任せして、気になったことがあれば微調整をお願いしたくらいです。
オシャレで最高の絵を描いて頂けたので、とても満足してます。

絵柄に反してゲームは渋いと色々な方から言われてますが、AZULみたいなものだと思って遊んで頂ければ幸いです(笑)

運要素
このゲームシステムの要は他プレイヤーとのゲームバランスによるものだと確信しております。しかしながら「引き」が全て運のために、邪魔をすれば自分の首を締める、というせっかくのジレンマがなくなってしまい、都度戦略を変える必要があります。
ただし、これはプレイヤーがそういったことを望まず「運」に比重を置く場合はその結果でした行動出来ないのでダウンタイムもなく「良い」ゲーム性であるとも言えます。
そのため対象とする方は重いものが好きなゲーマーよりも若干軽いものが好きな方を対象としているのか、どんな方に遊んでほしいか教えて下さい。

開発段階では、単純な袋引きではなく、もっと難しいシステムでした。
そのときは、配置可能になるチップが少し先まで見えている形だったため、コントロールできる要素が多かったです。
その分複雑で、考えることが多く、進行そのものが重いゲームになっていました。

袋引きにすることで運要素を強めましたが、戦略性は十分残っていますし、それでいて幅広い層に遊んでもらえる形に出来たと思っています。

ターゲット層としては、ボードゲームカフェなどで、ある程度はボードゲームを遊んだことがあって、少し難しいゲームを遊んでみたい方が中心です。
あるいは、ボードゲームに詳しい方が、ちょっと気軽に戦略ゲームを遊びたいときに、プレイして頂きたいですね。

.ボーナス
何も考えずにボーナス得点をすべて取ることを目標にプレイした場合、殆ど1-2位が取れてしまいました。単に運が良いだけかもしれませんが、トレンド関係なく無理やり取りに行くためかなりの頻度でボーナスは取れました。また、5回試行回数があるためトレンドを邪魔するものが引きやすい、というのも要因なのかもしれません。
ボーナスを取るとトレンドの形成に関われませんが、運によらない確実な先取点となり、それを邪魔すれば邪魔したプレイヤーが負けになるため強かったように思えます。
少し楽しくないプレイですが、こういった方法も「あり」なのでしょうか。

基本的には、ずっと先抜けしてボーナスを取りに行くプレイが、あまり強くならないように調整しました。
ひたすらボーナスを取りに行くプレイは想定していて、開発初期はもっとボーナス点は高かったのですが、調整によって低くなりました。

チップで近い点数を取っているプレイヤーがいるとき、ボーナス点の差で逆転が起こることはありますが、ボーナスだけではあまり点数は取れません。
もちろん早抜けを目指しているプレイヤーがそのまま勝ってしまうこともあると思いますが、テストプレイのデータを見ても勝率は高くないと思います。

また、ラウンドを最後に抜けたプレイヤーが次ラウンドのファーストプレイヤーになるので、早抜けを止めようと思えば容易に止められるシステムになっています。

特に制作でこだわったところを教えて頂けますか。

制作でこだわったのは、強烈なジレンマとインタラクションを組み込むことです。
これは個人的な好みでもありますが、他プレイヤーの行動に影響されて、ままならない苦し楽しいプレイ感が、対人戦の醍醐味だと思うからです。

他人に邪魔されずに伸び伸びプレイできるゲームが近年の主流であることは理解している上で、あえてそういうプレイ感のゲームを作ることは最初から決めていました。

あの中で一番好きな女性を教えて下さい笑

どの女性も素晴らしいですが、あえて言えばピンクが好きですね。
説明書1ページ目のコンポーネント一覧で、代表して一枚を表記していますが、そこでもピンクを載せています(笑)

最後に一言お願い致します。

初めてのボードゲーム制作な上、個人サークルなので大変なことも多かったですが、たくさんの方の支えと応援のお陰で形にすることが出来ました。
多くの方に楽しんでもらえるゲームが出来たと思いますので、是非遊んでみて頂けると嬉しいです。

今回は実装できなかったアイデアがいくつもありますので、きっとまたゲームを作ると思います。
今後も我楽多ボックスを宜しくお願い致します!

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