私の肉はコレだぁ!!見た目も美しいドラフトゲーム「100% BEEF SHOWDOWN(100%ビーフ ショーダウン)」

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2018年秋 ゲームマーケット「100% BEEF SHOWDOWN」のレビューや感想ルール、製作者様インタビューです。ゲムマ新作のドラフトで役を作るオシャレなカードゲームです。

デザイン Yu Maruno
イラスト Yu Maruno
人数 2~4人
時間 20~30分
年齢 14歳~
価格 2000円
発売 2018秋 ブース番号 2018秋 両-A21

はじめに

皆さんこんにちは!酒すごろくです。
いよいよゲムマもあと1週間程で開催となりました。
恒例の新作レビューをこれからUPしていきますのでぜひ見てくださいね。

今回のゲムマは波乱万丈、といった感じで計3作品が製作に間に合わず掲載断念という形になってしまい非常に残念でした(その後の依頼をお断りしたデザイナーさん申し訳ないです。)
そのため今回は全体の数は少ないのですが、その分しっかりとレビューしていきたいと思いますので是非見てくださいね。

また、一言コメントがまとまっているサイトも最近多くなってきております。情報量が多くまんべんなく見れますのでチェックしてみると良いかもしれませんヨ!

100% BEEF SHOWDOWN(100%ビーフ ショーダウン

トップバッターはデザイナーYu Maruno氏による「100% BEEF SHOWDOWN(100%ビーフ ショーダウン)」です。

「牛肉の目利き対決!
もっとも美味しい牛肉を見極めろ!」

という変わった題材なので気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

昨今のゲムマはデザインがどれもとても美しいですね。
むしろデザインにこだわっていない作品を探すほうが難しいかもしれません。

先ず目につくデザインとして、肉!ですね。
肉肉肉!!

この肉がどの部位なのかがひと目で分かる。
実はどの部位なのかっていうのは直接ゲームには影響しないのですが、フレーバーとしてとってもオモシロイ。
かつゲームを邪魔しないこの表現方法はとても良く考えられています。

デザインだけでも価値があるゲームですね。

システム

カード枚数36枚で構成された短時間で遊べるゲームです。
システムはドラフトとセットコレクション(役作り)です。

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6枚ある手札の中から1枚選び自分の場に置きます。
最初の1枚目は裏向きです。

「これは内緒!」と初めに選んだ1枚は隠しておきます。
そして残った5枚を左隣に渡して、また1枚選びます。
選んだ2枚目からはカードをオープンさせます。

このように1枚選択したら手札を回すを繰り返し、全部で6枚を選びます。

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このオープンが地味に良いシステムで、通常のドラフトは他プレイヤーが見えないようにピック(選ぶ)していきます。
このゲームではほとんどがオープンされているので、記憶力はあまり使いません。
回ってくる手札15枚を覚えておけば2手番先までは少しだけコントロール出来ます。

裏を返せば、自分が一番得点になりやすい役を作っておけばなんとなく左隣のカットになるのでそこまで考えずに気軽にプレイ出来ます。
これを繰り返して最後に6枚が配られ最初の1枚目以外はオープンで役を作ります。

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役は5枚で構成されて、1枚は頭に利用します。
役の強さで勝敗が決まるのですが、最後に使わなかった(頭にした)1枚が得点になります。
つまり、役が強ければ勝つのは簡単ですがその分得点もしやすいということです。

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役として使いやすい(勝つためには頭にしづらい)カードは高得点であり、役として使い難いカードが低い点です。
そして3ラウンドで得点の高いプレイヤーの勝利です。

このシステムによって初回のゲームでは逆転勝利が非常に起こりやすくなっております。このゲームをプレイヤーが熟すようになると、得点が高いギリギリの役を狙っていきます。
また、もし点数が入って負けた場合でもカードを1枚残した状態で次のラウンドに参加出来ます。
このように、救済処置があり逆転が起こりやすいゲームなので、「ドラフトってなんだろう?」という方には最適だと感じました。

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特にアフォーダンスに優れ、UIデザインが素晴らしいです。
役作りがきちんと牛の構成にされるところなんか、なんと魅力的なことでしょうか。
どのように役が出来て、何が得点か、すぐに分かるというのはユーザービリティに富んでいて、きちんとユーザーが遊ぶことを考慮された作品であると感じます。

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「遊び手がわかり易く丁寧に」
というゲームには優しさや愛が感じられます。
これだけでも良い作品ですね。

カードに関してはシャトーブリアンが強力です。
これは1枚でフィレとシャトーブリアンのどちらにもなるカードなので、この2種類が含まれているカードを選ばない選択肢はありません。
そのため、これが手元に来るとどうじても作業ゲー感はあります。
強い役の「CHATEAUBRIAND」だけの役作りは難しいのですが、無理なようであれば「FILLET」や「PORTERHOUSE」等の中級の役作りに方向転換が可能です。

強力なカードというのは思考が必要ない、という一長一短なところがあります。
こちらについては後述のインタビューも御覧下さい。

インタビュー

さけ
さけ

お世話になっております。酒すごろくです。
メンバーによってはかなり渋いゲームですね。
以下インタビューをお願い致します。

さけ
さけ

「肉の部位」の説明が、空腹を掻き立てるほど美味く表現されておりました。この肉の表現、絵なども含めてこだわりのポイントをお教え下さい。

 

 

Yu Maruno
Yu Maruno

ルールブックを読むことがゲームで最初に行うことになるので、ゲームプレイには必要のないテキストも多いのですが、肉の説明もなるべく書くようにしました。

普段、料理として肉を食べる時は部位にこだわって食べたりはしませんが、せっかく、珍しいテーマでゲームを作るのであれば、自分自身も遊んでくださる方にも、普段よりテーマに興味をもって遊びいんでもらえたらと思うので、なるべくムードテキスト的なものは大事にしたいと思っています。

肉のイラストは、手書きで描いたものをイラスト風に直したもを使っています。少し手書き感があるものの方が料理は美味しく見えるようだったので、本当に久しぶりに手描きで絵を描きましたが、おかげで肉の部位別の描きわけが出来るようになりました。

 

さけ
さけ

それではご自身でも仰っている珍しいテーマとして「肉」にした理由をお聞かせ願えますか。

シャトーブリアンがフィレの代わりになるなど、ゲームシステムとしても巧く表現されていて愉しめました
また、私個人としては、ドラフトというシステムの性質上、黙々とやる行為に心理的な
「興奮」が加味されて非常に良いテーマの導入だと思わず唸ってしまいました。

 

 

Yu Maruno
Yu Maruno

自分のサークルJUGAME STUDIOは、今、ゲームデザイナーが2名いますが、2人ともゲームデザインからアートワークまで基本的に1人で全部作業します。そのため、自分でアートワークを用意することを考えると、どうしてもアートワークを作る意味でも自分が興味のあるものをテーマとして選ぶことが多いです。

今回は、よく雑誌の肉特集などに乗っている、肉の部位の位置を説明するイラストみたいなアートワークのゲームをつくってみたいと思ったのが最初のきっかけです。

あとは、以前、ポーターハウスのステーキを食べた時に、ポーターハウスとTボーンステーキ、Lボーンステーキの違いの説明が面白かったので、今回はそういう役が作れるゲームにしようと思い、カードを使って1体の牛の形で役が作るコンポーネントの使い方でイメージが湧いたので、ゲームにすることにしました。

 

 

さけ
さけ

それはオモシロイ発想です。お肉はもともと牛ですものね。
ちょっと話がそれますが好きな肉の部位と、好きな役を教えて下さいませんか。

 

 

Yu Maruno
Yu Maruno

食べる意味では、どの部位も好きですが、ゲームに出てるものだとポーターハウスやプライリブが好きです。ゲームでは扱いませんでしたがランプなども好きです。

ゲーム中のカードでは、拡張でしか使いませんが、ラムが好きです。
役で好きなのは、早々にしゃがんだリブチョップと、みんながフィレを集めている時につくるLボーンX2が好きです。

 

 

 

さけ
さけ

ありがとうございます。
ゲームの話しに戻りますが、シャトーブリアンがどうしても強すぎる気が致しました。このあたりはどう思われますか。1枚で2つの種類を持つというのはドラフトで且つ役作りのシステムの性質上、非常に強力なカードとなります。
これは取らない理由はなく、このカードが来ると何も考えずに取らなければならないため、少なからず作業感がありました。

そのため、シャトーブリアンを防ぐ拡張かと思うのですが、ラムチョップコンボの構築と発動条件自体が非常に難しいため、あまり機能しませんでした。
あまり深く考えず、シャトーブリアンは強い!来たらラッキー!程度に考えた方が良いのでしょうか。

 

 

 

Yu Maruno
Yu Maruno

使いやすいのに強いっていうのは少し違和感がありますねw
ゲームを作る時に、役やカードでシンボリックなものがあった方が良いかなといつも思うのと、そこまでゲーム慣れしていない人や肉に詳しくなくても、シャトーブリアンはなんとなく知っている人が多かったので、希少部位だし、そこは強いということにしました。

今回のゲームは全部で3ラウンド行いますが、運が良くても1ラウンド目からシャトーブリアンの役をつくるのは難しいと思いますし、シャトーブリアンを3ラウンドまでにつくるぞ!という風に思ってもらえれば良いかなと思っています。

あと、テストをしていた時に、外国の人でリブ好きが多いから、もっとリブにスポットを当てた方がいいとか、肉の好みに関するアドバイスを結構いただいたので、役の強さなどの調整もいろいろ気は遣いました。

何かテーマに対するこだわりのほうが強くなってしまった感じは自分でもしているのですが、どの肉の部位が好きな方にも、楽しんで貰えるようになるべく気を使ったつもりなので、テーマの雰囲気を感じてもらえたら嬉しいです。

 

 

さけ
さけ

代表的なメイン、という意味では確かにシャトーブリアンというカードはとても魅力的ですね。
強いカードというのは裏を返せば分かりやすく、初心者にも優しいものと思われます。このあたりは運を含む少しだけパーティーの要素を取り入れ、誰でも気軽に出来るように調整されたのかなと感じました。
そういった方に遊んでほしいですか?

 

 

Yu Maruno
Yu Maruno

よく一緒にゲームを遊ぶ友達とかと、人数が揃うまでの間とか、ちょっと休憩っぽい時間とかに、気軽に遊んで貰えたらと思っています。なるべくスペースを使わないで遊べるようにドラフトのゲームにしたので、まだ自分ではしたことはないですが、バーベキューとかでも遊んでみたいです。

また、僕のまわりには、昔からビデオゲームなどは好きでボードゲームも好きそうなのに、ボードゲームはあまり遊んだことがないという人も結構います。そういう人にも興味を持ってもらえたら良いなと思ってこのゲームは作りました。

 

 

 

さけ
さけ

最後に、なにか一言お願い致します。

 

Yu Maruno
Yu Maruno

なるべくユニークなテーマで、コンポーネントの使い方や見え方も面白いと思ってもらえるようなゲームを作っていければと思っているので、今までのゲームも、今後のゲームも是非一度遊んでだけたら嬉しいです。

 

感想

メンバーによっては非常にライトなゲームにも難しいゲームにもなりえます。
ゲーマーズにはオープンされつつ、1枚伏せなのでコントロールがそこまで巧く効かないゲームでもあります。ドラフトの醍醐味を没入するという感じではないのでそこをどう捉えるかでしょうか。

ライト層はドラフトを愉しいと思えるかどうかが焦点になりそうです。
作業ゲーとして感じる方も少なくないとは思いますが、もうちょと踏み込んで「人のじゃまを出来るかもしれない(カット)」という戦略に気づくと、丁度良い塩梅でたのしめます。
この丁度良いがとても難しく、それ以上になると「難しい」と思われがちなので、非常に良い落とし所です。
この絶妙な構成に拍手したい。

さて、ドラフトゲーというのはダウンタイムが解消され、テンポよく楽しめる作品です。ドラフトゲーをやったことのない方であれば、非常に軽く、かつ戦略も楽しめるので最初の入門として良いかもしれません。

遊び手のことを考えられた良作です。
個人的にはたくさんの方に手にとって欲しい作品ですね。

ルールは公表されているので下記URLをチェックしてみて下さい。

 

JUGAME STUDIO
JUGAME STUDIOはカードゲーム、ボードゲームの製作をしています。

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