ゲームマーケット2016秋 新作同人ボードゲーム「モンスカート」のレビュー感想です。
デザイン | チカール |
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イラスト | 小桜世界一 |
人数 | 3~4人 |
時間 | 45~60分 |
年齢 | 12歳~ |
価格 | 2500円 |
発売 | 2016秋 |
難易度 | 超簡単 簡単 【普通】 難しい |
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はじめに
本作はスカートと呼ばれる傑作トリックテイキングゲームをアレンジしたボードゲームです。
1対2の形式で行われる1対多の緊迫した駆け引きが愉しめます。
トリックテイキングゲームをご存知のかたであれば大変楽しい内容ですので、トリックテイキングゲーム、としてではなく、「モンスカート」としてプレイすることをお薦めします。
自分がどれほど勝てるか
初めにスタートプレイヤーがどれほど勝てるかを宣言します。
これは自分の手札の強さを目安に伝えます。
そこから左隣にオークション形式で数字が上がります。
パスをしても再度数字は宣言出来ます。
スタピー「(これなら4回はまあ勝てそうだな)4!」
B「(5回かあ・・・微妙・・・)パス!」
C「(5は余裕・・・)5!」
スタピー「(5回は微妙・・・今回はディフェンダーにするか)パス」
こうしてスタピー&B(ディフェンダー) VS C(挑戦者)
こんな感じで進みます。
得点計算をとっても簡単にいえば、5回勝てたらBCから5点ずつ、計10点もらえます。
3回しか勝てなかったら足りない分+宣言数(この場合2+5 計7)を二人に配ります。
それを2週繰り返して勝利点の高いほうが勝ちとなります。
1VS2ですからチャレンジャーは不利になりがちです。
そのため、ルールをチャレンジャーは設定出来ます。
例えば切り札(強いカードの色)を予め設定【するかしないか】を決められます。
【しない】場合はその時点で得点になります。
トリックテイキングゲームの中でたくさんの創意工夫が見られるボードです。
初手エレメント強化なし!!
チャレンジャーから
説明はお決まりの「マストフォローありの切り札あり。」
チャレンジャーから。
まあ5点ならどうかな?
取られるなあ、そんな気がする。
手札そんな弱いの?笑
んんん、なら7点!
おお笑
初めてだから何点までいけるか分からないけれど、安牌でこの点数。
「安牌でその点数って笑」
んー、切り札なし得点で交換ありかな。
「早速切り札なしにするのね笑」
ボード上の伏せられたカードとチャレンジャーは交換出来る。
「ニヤリ」
今ニヤッとしたよね笑
緑4
マストフォロー2
・・・マストフォロー5
何出す?
黄色1
あ、これ(勝って下さい)って頼まれてる笑
んー、黄色3
チャレンジャー「黄色7」
各色(白を除く)最高7まで。
一同「!?」
んんんん笑
「分かった」
エレメント強化で白は緑になってマストフォローだから、俺たち白はたくさん持ってるけれど、チャレンジャーはたぶん各色の5,6.7をほとんど持ってる。
だから切り札なしにしてる。
「そーだよ笑」
ん、待って説明書のサンプル例だと白はワイルド(何色のときでも出せるカード)で出てるよ。
「これボイド(わざと捨て札にして白しか出せない状態にしている)してるんじゃないの?」
え、サンプルプレイの説明でボイド?何も記載されてないよ。
でも説明書には「最強の5色目」の表記あるし、製作者さんに確認だね。
→後からワイルドではなく5色目として扱うとの回答を頂きました。
「とりあえず5色目のルールに準じていくと勝ち」
「うげー笑」
「でももっと得点いけそうだったね」
次は9点
9!!
それは無理だあ笑
「切り札青色、交換有り」
青7
マストフォロー7
「白8」
チャレンジャー「あーしまった笑、あとで言う笑」
結局チャレンジャーは他二人よりも勝ったけれど、得点9までは届かず。
実はこのゲーム、カードに記載された絵柄が得点になる。
つまり、最強の白カードで勝っても白カードは得点にならず、周りが得点になるカードを出さなければ自分の得点にならない。
白を持っていると見透かされると、得点になるカードを他プレイヤーは出さない。
「勝負で勝って、ゲームに負けた笑」
でもすっごい愉しい。何度でもやりたい。
製作者インタビュー
―モンスカート、とても愉しいゲームでした。
元となるスカートを大胆にアレンジしたということですが、それまでの作成のきっかけや経緯を教えて頂けますか。
色々なゲーム会に参加し、3~4時間かかるような重量級ゲームを含む様々な作品に触れてきたのですが、サマリー付きの丁寧なインストを受けても、今までで唯一全くルールが理解できなかったゲームが、トランプゲームの「スカート」というゲームでした。
「最も知的で奥深いゲーム」「無数に存在するカードゲームの中でも最高峰」と称されるゲームで、後ほど詳しくルールを調べてみたのですが、信じられないほどに複雑怪奇に出来上がっており、到底人に説明して遊べるものではないどころか、ゲーム製作者を含む知人の誰一人としてその内容を理解することが出来ませんでした。
しかし、「ルールを決められる有利な1人vs協力して闘う2人」という独特の形式に興味を持ち、その後研究を進めていくと「どうやらゲームの肝となる部分自体はそこまで複雑には出来ていない」ということが明らかになり、「このゲームを誰でも楽しめる作品に作り変えることは出来ないか?」と思い立ったのが制作のきっかけです。
―製作のきっかけが「ルールからの挑戦」だったんですね。きっかけが素敵です。そうなると、こだわっている点はかなりありそうです。
元となるスカートの面白い部分、ゲーム性を可能な限りそのまま残しつつ、どこまで敷居を下げることができるか、プレイアビリティーをどこまで上げることができるかに徹底的に挑んだのがモンスカートというゲームです。
カードとルールをわかりやすく整理し、ドイツ語の複雑な用語を取り除き、高度な計算能力と記憶力が必要となる要素を徹底的に排除しました。また、新たに搭載したゲームボードによって遊びやすさが格段に上がったと思います。
―確かに。スカートというより「モンスカート」というトリックテイキングゲームとして非常に楽しかったです。
トリックテイキングというとドライなテーマでとっつきにくさがある部分もありますが、「コロシアムのモンスターバトル」というテーマで再構築し、手に取りやすいゲームを目指しました。小桜世界一さんの手による温かみのあるモンスターイラストによって、素晴らしい仕上がりになったと思います。
―イラストから気になったのことがあります。
これは誰にでも受け入れそうなテーマで、なおかつこのカッコイイ絵柄からもハードルは低くなっていると思います。
ただ内容はやはり純粋なトリックテイキングゲーム。
そのため、遊んで欲しい対象の人の想定があれば教えて頂けますか?
トリックテイキング経験者にとっては決して複雑なルールではないと思うのですが、「マストフォロー」というルールに馴染みのないゲーム初心者の方には最初のうちは中々ゲーム性を把握するのが難しいと思います。
今までは「初めてゲームに触れる初心者の方とも楽しめるゲーム」を一つの方向として目指してきたのですが、今作はある程度カンタンなゲームにいくつか触れた上で物足りなくなさを感じてきたような中級者の方から、本格的な思考を楽しめる上級者の方にぜひ楽しんでいただきたいと思っています。
囲碁や将棋など本格的なゲームには、ルールを理解した上でも「楽しむ」という段階になるためにはかなりのハードルがあります。本作はその面白さを感じれるためのハードルを可能な限り下げたつもりなので、ぜひ何度もプレイしていただいて、スカートの持つ奥深くも魅力的なゲーム性を楽しんでいただければ幸いです。
―なるほど。確かに第2次ボードゲーム全盛期。初めたばかりのミドル級プレイヤーにとっては「探求」という意味合いではうってつけの内容ですね!いろいろとありがとうございました。
感想
初めのインタビュー時で「対象の方は?」とお聞きした時、「幅広い年齢層に受け入れられて初心者から上級プレイヤーまで!」という回答が返って来るのかなあと非常に穿った見方をしておりました(するめデイズ様すみません!)。
しかし、ご回答は上記の通り非常に的確で、対象のプレイヤーを見据えて作られている素晴らしいボードゲームです。
製作者さまの意図に反してお伝えするならば、このボードゲームはトリックテイキングゲーム初心者にも充分愉しめる内容です。
トリックテイキングゲーム、と言うと少しハードルが高くなってしまい「どんなゲーム??」と思われるでしょう。
しかし、本作ではトリックテイキングゲーム初の人でも愉しめるようボードに工夫があったり、盛り上げるための簡易ルールがあります。
また、トリックテイキングゲームとしてはWEB上に豊富な解説があるので、それらもきっと役に立つと思います。
ボードゲーム初心者にとっては難しいかもしれませんが、それを考慮して挑めば「難しい→とっても面白い!!」で返ってくるはずです。
もちろん中級者から上級者まで手軽に愉しめる内容だと思います。お薦めです。
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