2016年秋のゲームマーケットでお薦めな新作ボードゲーム「ローマの力」

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  • 6/10
    運 - 6/10
  • 6.3/10
    戦略性 - 6.3/10
  • 6.3/10
    コンポーネント - 6.3/10
  • 7/10
    テーマ性 - 7/10
  • 5.9/10
    インタラクション - 5.9/10
  • 7/10
    プレイアビリティ - 7/10
  • 7/10
    プレイ頻度 - 7/10
6.5/10

抜粋のみを表示

総プレイ回数:3
実プレイ時間: 50
プレイ人数:1-3
推奨プレイ人数 :3
お気に入り度
お酒との相性:
難易度:Lv.3
日本語化:不要
発売年:2016 秋
ゲームデザイン:植民地戦争+α
想定価格:記事最後に記載
補足:植民地戦争+α 10週年記念作品

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ボードゲーム 「ローマの力」のレビューやルール・感想です。

 

まえがき

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音楽はインディーズから新しいアーティストを探すのが好きで、もちろんそれはボードゲームにもあてはまるものがあります。自分だけの宝探し。ダイヤの原石を磨く愉しさ。

今回TGCでこれは面白そうだと思わず即買してしまったボードゲーム「ローマの力」

2016年秋のゲームマーケットの新作の中でお薦めのボードゲームです。いや、マストバイかもですよ笑 手元に一つあって良いと思います。

まず事前に製作者さまとお話が出来てよかった。サンファンとプエルトリコが好きで、10周年を記念して制作したとのこと。

植民地戦争+α

植民地戦争+α
歴史テーマの中量級のボードゲームを制作し、ゲームマーケットに出展しています。なので歴史とボドゲの話が多いです。【植民地戦争+α】

サンファンやプエルトリコのヴァリアブル・フェイズ・オーダー!!( スタートプレイヤーが選んだアクションを選んだプレイヤー以外のプレイヤーも追従してアクションを行なうことが出来ます。スタートプレイヤーだけ特別にそのアクション+aの得点がプレイ出来ます)!!をうまくシステムに取り込み、運任せの欠点も排除しています。個人ボードを拝見しても、ゲームバランスをかなり考慮して作成されていることがわかります。

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あとはモヒカンのミープルは手作りで、しかもすっごい可愛いです笑

単純にサンファンやプエルトリコのシステムを取り込んだだけではなく、改良に徹しているのがよく分かる、愛を感じるボードゲームです。しかも面白い。ボードゲーム初心者に普及したい傑作。

2016年のゲームマーケットでの予約が始まっております。

販売数量は分かりませんが(手作りに近いためおそらく少なめなのかなと予想)この面白さであればすぐ売り切れるんじゃないかな。

テーマ

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「次期皇帝を決める」
灰色に沈んだ元老院たちの沈黙が、さらに色を深めた。
冷たい湿気が肌に触れ、どこからか水滴が滴る音が永遠に時を刻むかのように思えた。

これはいずれ誰かが言わなければならないことだが、それをいかにして決めるか―

ポエニ戦争で始まる戦、そしてその戦により獲得した海外領土、属州と呼ばれる土地がある。
ローマはそれらの属州に応じた穀物と奴隷によって共和政が支えられていた。
大量の奴隷はローマに送られ、属州からの特産物はローマ市民の娯楽や食糧とされていた。このように属州統治は、つまりはローマ統治の最重要課題であり、ローマの社会と政治を大きく左右する。

「これらの属州を統治し、ローマの繁栄を一番に齎せた者を次期皇帝とするのはどうか」

属州に居るバルバロイ(蛮族)を支配し奴隷とすることは並大抵のことではない。さらにその奴隷を解放し、市民として根付かせることなど、匙を以て海を汲むようなものだ。

しかし、それだけではない。

その属州である特産物の拡大を図り、特色を活かした方法でローマを潤すことも重要である。

智と力を兼ね備え、不撓不屈の精神を持つ者にしか任すことはできない。

そして、だからこそ、次期皇帝を決める基準としては相応しい。

穀物生産、金、行政における法治、賄賂等、さまざまな方法を駆使して一番にローマを潤すことに成功した者を時期皇帝とする。

「それで異論はないか」
沈黙。
それは先程の沈黙とは異なる。
誰かが合図したかのように、各々は消えるように暗闇の中へ散る―

ここがおもしろい!
  • ゲームシステム優等生
    サンファン、プエルトリコの良し悪しを巧く精査した面白さ。ダウンタイムを解消し、さらに非常に強力だった運要素を綺麗に収束させている。
  • ミドル級の愉しさをそのままにボードゲーム初心者に猛烈にお薦め出来る
    まずルール迷子にならない。拡大再生産と個人ボードのジレンマが多いが、アクションタイル5枚の効果がゲームバランスをかなり考慮した内容になっている。そのためどうプレイしても安定したゲームメイクになる。さらに1時間のプレイ時間は程よく、内容も充実している。説明書も丁寧に作られており分かりやすい。説明動画やサマリーも細かくWEBに記載されている。初心者でなくとも、こういったプレイ側への配慮はボードゲーマーもうれしい。
  • 細かい小ネタがとても好き
    ミープルはそのままにしておけばいいのに雰囲気を保つためにモヒカンにしてたり(あれはきっと切り込みを入れて接着加工をわざわざしているに違いない)、実存した属州の内容を忠実に再現したりと芸が細かい。建築物や地図等古代ローマの雰囲気を作る拘り。ボードゲームへの愛を感じる。
インスト時に気をつけたいこと
  • 行政の特権による同一カードの使用は不可(同カード2つ以上があれば別)
  • 個人ボードへの蛮族の初期配置は必ず時間を取ること。行政が固定されているので初期では絶対に置かない方が良い場所がある。
  • 各穀物及び資材は6つまでしかもてません
  • 一番初めのスタートプレイヤーは有利である。

全員が初プレイの場合はスタートプレイヤーが有利になりがちですが、何度かプレイを重ねるうちにゲーム上スタートプレイヤーが有利にならないようにする攻略方法がありました。是非探してみて下さい!

システム

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基本はヴァリアブル・フェイズ・オーダーのシステムです。
スタートプレイヤーからアクションタイルを選び、実行します。そのアクションは他の全てのプレイヤーが実行可能です。
「スタートプレイヤーと同じ???そのアクションタイルを選んだプレイヤーは他プレイヤーと違うことは出来ないの???」
そうそう、それが他の人は実行できない特権として出来るアクションです。
つまりスタートプレイヤー及びアクションタイルを選んだプレイヤーはアクションタイルのアクション+α(特権)の2アクションが実行可能です。

アクションタイルを選びアクション+αを行う。他プレイヤーも選ばれた同じアクションを行う。使用したアクションタイルはそのラウンドではもう使用出来ません。

時計回りで次のプレイヤーが前に使用されたアクションタイル以外のアクションを新しく選択して実行します。
プレイヤー全員がアクションタイルを選び終えたらラウンド終了です。スタートプレイヤーが移ります。
基本的には上記アクションを繰り返し、全12ラウンド+凱旋アクションでゲームが終了します。

準備

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はじめに個人ボード(属州ボード)を選びます。

その次に蛮族を地域マスに配置します。
最初はどれでも良かったのですが、2回目以降からこの属州ボード選びが愉しくなりますよ!笑
その属州に応じて戦略がけっこうかわってくるからです。
これは初期に配置されている右の行政で確認が出来ます。

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例えばキュプルス属州なんかは実際の歴史通り(元老院属州とも呼ばれていた)穀物が扱い易い属州である反面討伐など、全体的に少々効果が薄い気がします。
ここの属州は葡萄が重要な穀物であるのですが、オリーブはそこまで重要ではないのかもしれませんね。オリーブ<<麦≦奴隷<葡萄といった具合でしょうか。
そのため蛮族の配置はオリーブがあるところに集中させた方が良いかも。
初期配置に直売所があるのは非常に強力な行政なので(後から他プレイヤーはこの行政カードを拡張できるのですが)、これをうまく利用して葡萄と奴隷を増やします。
市民と金はマジョリティがあるので、この2つを増やしていく戦略が考えられますね。
1. 直売所もしくは領地の生産で麦、葡萄を増やす
2. 市場で麦を葡萄か奴隷を増やす
3. 奴隷か葡萄を使い聖堂で市民を増やす
4. 残りの奴隷は鉱山に赴かせ金を増やす
個人ボードを見ただけでもざっとこんな感じの戦略が立てられるかと思います。

 

アクション
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討伐
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蛮族を移動させます。
特権がある場合はその移動させた蛮族を奴隷として獲得することが出来ます。
細かいルールは説明書を参照して頂ければ良いのですが、例えば蛮族があるところに蛮族を移動できるか、という問いに対してはYESです。
その上に蛮族を乗せることが出来ます。
しかし、次にその2つある蛮族を移動させるには市民を手元に2つなければなりません。
蛮族を移動させなければ特産物の生産が増えないので、このあたりをどう処理するかが重要ですね。
また、属州から蛮族が居なくなればボーナスが付きますのでこちらも配慮しておきたいです。

生産

手元にある全ての民を好きな数で個人ボードに置けます。
特権は奴隷も同様に置くことが可能です。
この市民と奴隷を置くことで、置いたマスに応じた穀物を収穫アクションで得ることが出来ます。
しかし、先程の討伐アクションでは蛮族<手元にある市民の数でしか移動が出来ませんので、市民を全て置いてしまうと蛮族を移動する、もしくは奴隷にすることが出来ないわけです。
そのため奴隷を置けば良いのですが、特権でしか選べません。
このあたりのジレンマがとってもおもしろいく、そのためどのアクションも醜い特権の奪い合いの構図になります笑
奴隷は市民にも出来たり、領地拡大にもつながるので、説明書にもある通り、初めは討伐で奴隷を積極的に獲得していく方法が定石になりそうです。

収穫

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個人ボードにおいてある市民、奴隷をどれか1つ回収してそのマスに対応した穀物を得ます。特権はもう一つ同様のアクションが行えます。つまり、特権は民、奴隷をどれか2つ回収してそのマスに対応した穀物を得ます。

贈賄
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このアクションにより個人ボードを拡張することが可能です。

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プレイ中央にある5枚の行政カードを対応した資材を払うことによって、個人ボードへ拡張することが可能です。
全プレイヤーが選び終えたら中央の残り行政カードは捨て札に行き、山札から5枚新たに補填します。この補填された行政カードが次回贈賄によって選べるカードになります。
追加アクションでの特権はありませんが、最初に選べるのはかなり強い特権になるはずです。
この贈賄を誰がどのタイミングで選ぶかが重要です。資源は6個までしか持てないので、あらかじめある程度残しておかないと贈賄アクションが行えないという笑
行政カードはそのまま得点にもなるし、生産等が有利になり他プレイヤーとの差別化が計れるので積極的に獲得していきたいところ。

行政

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このアクションがゲームの終盤主軸となるアクションです。
個人ボードの行政もしくは贈賄で拡張した行政カードのどれか一つの効果を使えます。
特権は選んだアクション以外のどれか一つをさらにもう1回行えます。

ゲーム終了

最後に凱旋アクションを行いゲーム終了です。
この凱旋アクションは早い者勝ちの選択ではなく、選んだプレイヤーのみが特権を含む効果を得ます。
捨て札でから効果を利用する行政カードがあるのですが、最後の凱旋は贈賄を選んだら、選ばれた毎に即時中央の行政カードが捨てられるので、リシャッフルが起きやすい。
つまり凱旋アクションでは目的の捨て札にある行政カードを利用しにくいです笑

 

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最後に得点計算を行います。得点計算は分かりやすく、マジョリティボーナスもあるので皆で愉しく行えます笑

感想

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このメインボードも誰がスタートプレイヤーなのか分かりやすいナイスなアイディア

プエルトリコ方式で拡大再生産があり、インタラクションも固定で分かりやすい。

ゲームバランスを考慮し、プレイのしやすさや面白さを巧く表現し尽くした製作者様には脱帽。

確かに骨太なゲーム、というわけではないのですが、それはそれでコレはコレ。

ミドル級で何度も遊びたくなるように作られているので、このクラスでは「この時間ならローマの力をやりたい!」と思わせる程。

しかもボードの追加拡張もありそうだから、もうずっと遊べちゃう。ローマの力のファンが付くと思うくらい依存度もたっぷり。1人プレイ用ルールもあるのも良いところです。

今のところ拡大再生産が好きそうな、ボードゲーム初めての方には一番に薦めたいボードゲームです。

2016年 秋のゲームマーケットで発売予定をされてらっしゃるのですが、これだけよく作られて面白いボードゲームですから、欲しい方は予約をしておいた方が良いかもしれません。

いまなら追加の属州ボードが付くみたいですよ!(欲しい)

あと最後に、こちらは価格 2500円。安い。

ローマの力、今書いてたらやりたくてウズウズしてきました笑

〜属州統治〜 ローマの力
紹介文

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