10年越しの超大作、人類の歩みの全て「スルー・ジ・エイジズ 日本語版/Through the Ages」中級編

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スルー・ジ・エイジズ 文明の新しい物語  日本語版のレビュー・感想です。
(Through the Ages: A Story of Civilization)

まえがき

参った。これは面白い。そして重い。けれど、納得の重さ。

例えるならこってりのラーメンを食べたくなり「あー、これよねこれ」と頷くような。
決して「なんか重すぎる」という「飽き・つまらなさ」が満腹になる前に先行するものではないところが重要なのです。

スルージエイジはもともと2006年に「コードネーム」で受賞したデザイナー、ヴラーダ・フヴァチルの名を世に知らしめた作品です。
セブンワンダー等の文明発展系ジャンルのボードゲーム「シヴィライゼーション」の代表的作品と言っても過言ではないでしょう。

本作品は言語依存が高く、そしてプレイ時間もデフォルトの上級ルールで4人なら10時間以上。中級であれば6-9時間程。
システムによるプレイ時間ではなく、ダウンタイムがほとんど。
1人1時間半、じっくり考え込みます。人によってはこれでも全然足りません。
さらに文明発展に寄与するための戦争があり、それに伴うインタラクションもかなり高く、他の人のプレイに目が離せません。

それでも、世界中のボードゲーマーに愛され日本国内でも人気の作品です。
そして満を持して、この度日本語版として発売が開始されました。

カードドラフトがこのボードゲームの重要な要素になるのですが、300以上のカード全てに言語依存があり、内容も簡単なものではなく、発動条件が細かく指定されているカードが多く、もちろんルールブックもプレイ時間に比例して分厚い笑

これが日本語化になるものだから、ハードルがぐっと低くなり、インストもしやすく遊べる人口も多くなることでしょう。

テーマ

プレイヤーは様々な時代を体験し、そして自らの手で自身の文明の代表として介入します。古代ローマ、エジプト文明、そしてインターネット現代まで。
歴史に大きな貢献をもたらしたとして、ユリウス・カエサルからチンギス・カン、ビル・ゲイツまで様々な人物が登場します。
戦争は太古の昔から現代まで絶えることは有りません、時代に合わせたリーダーを選び、科学の発展、他プレイヤーへの戦争を駆使して自分だけの文明を発展させましょう。

ここがおもしろい

・自分だけの文明として歴史的偉人や世界的建築物を構成する文化を築ける
・新版としてデザイン性が優れている他、10年分のプレイデータに基づき構築された運の要素と人間味のあるアクションのバランスが非常に高い
・重い。最高。

インスト時に特に気をつけたいこと

・とにかく細かな点が多いためソリティアでも良いのでプレイ数は多く重ねたい
・手番開始時のみ中央カードは「都度」ではなく全プレイが終わってから左に詰める
・1世代終了時に休息を設けることをお薦めします(2世代からは展開のスピードが増すため)
・ハッピーメーターの防止駒はその区分ごとの1つの配置で足りる
・資源トークンは両替不可。お釣りが必ず発生する。

システム

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今回はプレイ時間と協定等のルールを省いた中級でプレイします。
基本としてのシステムは同一だと思われます。
上級は大幅な時間を必要とするために次回プレイ時にまとめたいと思います。
用語の統一等はそのときに行いますので本記事はご参考程度にご容赦下さいまし。

アクションは大きく分けて2つ
内政アクションと政略(外交、軍事)アクションがあります。

実際には政略アクション→内政アクションの流れですが内政アクションから見ていきましょう。

まず個人ボードの配置です。デザインやアートワークが旧版に比べて非常に見やすくなりました。
右側にある政治体制カードが実質的な手番数の限度値で、その数に応じた白駒・赤駒が配置されます。この白駒を利用して内政アクションを行い、赤駒を利用して軍事等の外交アクションを行います。

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個人ボードは労働者、食料、資源、ハッピーメーター(このニコちゃんマークが最高にシュール!)が表記されています。

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黄色い駒は労働者駒で、その数分の食料が消費され、数分の資源駒が創作されます。
資源と食料は同一の青色の駒です。この同一の駒を利用することで個人処理が単一化され分かりやすい。
青駒は畑カードの上に配置されれば食料であり、鉱山等の生産カードに配置されれば資源とみなします。カードに応じて配置上限があります。

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資源が増えれば内紛として横領が置き、人口が増えれば食料も嵩みます。
ハッピーメーターが労働屋の排出(つまり人口)に応じてニコちゃんマークが増えます。つまり、人口の増加に見合った幸福度を保つ娯楽施設等を建設しなければ幸福度は下がります。
ハッピーメーターが下がると生産が行われません。労働者のストライキが起きるわけです。ここがよーく出来ていて、時代にマッチしており内政も気が抜けません。
個人ボードで使用するカードは以下の通り。
・資源(鉱山)カード
・人口や食力で使用する農場カード
・軍事力を上げる軍事軍隊カード
・偉人カード
・科学力等の都市カード
・ハッピーメーターのニコちゃんマークを増やす娯楽施設カード
・アクション数等に比例する政府カード
・歴史的建築物等のWONDERカード

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これらはメインボード上からプレイ順に応じてドラフトを行い拡張できます。
しかし、メインボードは初手で手に入れるにはどうしてもコストが高くなるシステム(ロココの仕立屋と似ていますね)のためここが非常に悩ましい。
更に戦争カードの内容によっては<<(勝者は戦力値差分の資産駒を奪う>>なんて物騒な(戦争カードはほとんどこのようなもの)ものがあるので他プレイヤーの動向を考え軍事力は維持しておく必要があります。
このあたりも非常にインタラクションが高い要因と言えるでしょう。

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軍事力に関してはボードが別に用意されているためにとても目につく笑

初めにお伝えした通り内政駒と政略駒は同一のものではないために、ここでいかに効率よく内政としてどちらも上げていくか、とても悩むのです笑
内政は非常に緻密にできているのですが、政略である植民地・戦争が非常に強烈であるために、ある意味戦争ゲームなのかもしれません。

モニュメントを建築するためには資源とある程度の発明力が必要です。
資源を算出出来たとしても戦争で差分が持っていかれたり、戦略カードで軍事力が低いと生産資源や人口が壊滅したりするのです・・・。

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戦争を起こす宣言はプレイヤーによって行われるのですが、戦略カードは初期数+設置した枚数が順不同でプレイヤー全員へ効力を及ぼすため、【軍事を全く上げない】といったプレイスタイルが困難なように作られています。

モニュメントを建設すればそのモニュメントで表示されている上限値が毎ラウンド加算されます。
建設物の文化力の分だけ文化ポイント(勝利点)が加算され、発明力の分だけ発明ポイントが増えます。

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さて政略フェイズですが、軍事カードは戦争や戦略カードを配置することによって行えます笑 なんともえぐいです笑
人類は争いからま逃れないのか・・・。
ここで戦略を変更したり、軍事力を拡張したりといろいろと行えます。
戦略カードを設置した場合植民地カードが出る場合もあるのですが、こちらは軍事力値を利用した競りで解決します。

植民地は個人ボードの拡張と文化レベルの発展に大いに貢献できるものですので是非手に入れたい。だから軍事力が上がり、だから戦争も起きるのです・・・。
戦争宣言されたプレイヤーは手番整理を行い軍事力を拡張する猶予が与えられます。
宣言したプレイヤーは宣言値として軍事力が削れるので、このあたりのバランスがたのしい。

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そしてメインボードでカードのドラフトを行い、個人ボードで文化の拡張を行います。
このメインボードのドラフトは先ほどちょろっとお話した通り、先行プレイヤーのコストが高い反面、自由に選べる、後手番のプレイヤーはコストが低い反面選べるカードが少ないシステムですね。

これらは4世代に分かれており、世代があがるにつれて例えば軍事は木場、大砲、銃等、建築物もピラミッドからエッフェル塔まで、世代に比例してカードの強さも変わります。ビル・ゲイツも出てくるのでおもしろいし、デザインであるアートワークも綺麗です。

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内政で労働者と食料のバランスを整えつつ、労働者により資源を作成、発明力を高めつつ娯楽施設で幸福度であるハッピーメーターを高める。
第四世代が終了した時点で文化点が一番高いプレイヤーの勝利です。

感想

まえがきでもお話致しましたが、重たい、そしておもしろい。
中級編でもかなりの時間を要しましたが、上級編がやりたくてもううずうずしております笑
人類の文化史とこのボードゲームのシステムやメカニクスが本当にうまくマッチしており、プレイする中でもいろいろと感慨深いものがあります。

最終局面、効果がたいぶ強いどんぶり勘定的のような勢いを強く感じますが、まあカードが来るのかも運ですので良しとしましょう笑(そのため運についてのバランス評価を6としています)

常に相手の動向を考えながら行動しなければいけませんが、戦略値が分かりやすく、このインタラクションの高さも非常に好感が持てます。

そしてこれだけの重さなのにアクションにおける無駄が全くない。
BGGでも2位は納得。
日本語版の再販の目処が立っていない以上、早めに入手したい作品の一つですね。

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