変わり種の経営戦略ゲー、隠れた名作「スチーブンソンズロケット/Stephensons Rocket」

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はじめに

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スチーブンソンズロケットは999 Gamesから1999年に出されたライナー・クニツィアの作品です。
ドイツでの受賞歴はなく2000年にアメリカのゲーマーズチョイスにノミネートされただけで、その後は再販されずに絶版となりました。
しかし、アクワイアに強く影響を受けた本作はじわりじわりと固定ファンを増やしていきます。

アブストラクト+ストラテジー✕ライナー・クニツィア色のジレンマがある本作は、この独特な雰囲気がなんとも形容し難く、フシギなプレイ感を生み出します。
以前ヘクス型でわかりやすいゲームなんて記載があるものも見られましたが、とんでもない。
とーってもこのボードゲームはわかりにくい。いろいろと。

だからと言って楽しくないかと言われれば、この淡々と繰り返されるリズムとジレンマが心地よく身体に馴染み面白いと感じさせる。

例えるなら露天風呂なのにちょっとぬるま湯、だから風がたまに来ると寒いからもっと浸かっていないような、そんな気分。

そして17年間たくさんのボードゲーマたちをこのぬるま湯で浸し続け、今年の12月にGrail Gamesから新たなデザインとして販売開始となりました。

分かり難かった地形や建物の色別デザイン、新たに各プレイヤーの得点をボード上に視覚化したりと、明らかにプレイアビリティが向上しております。

「おおっ。」唸る露天に浸かる人たち。

今回はそんな大好きなスチーブンソンズロケットの新版を記念して、旧版である本作品のレビューをしたいと思います。

ルールの大規模修正はないようですから、これから購入を検討されている方、もしくはこのゲームを知らない方にも面白いかもしれません。

ここがおもしろい!

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  • 堅苦しい経済ゲームではなく人間味あふれるゲーム展開
  • 運否天賦なしの実力派アブストラクト
  • 誰と協力し合うか等、疑似協力としてもGood

基本アクションは簡単ですが、それに対して付随するルールが煩雑で分かり難い。
しかし一度やってしまえば覚えは早いので「そういうもの」だと理解して始めると楽しめるかも。

システム

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完全情報の経営戦略ゲームでより多くお金を持っているプレイヤーの勝利です。
鉄道を伸ばしてマジョリティを競い、合併と吸収を繰り返してどの路線が伸びるのかを将来を見据えて投資する株ゲームですね。

ゲーム終了時最も多くのお金を持っているプレイヤーの勝利です。

手番で出来るアクションは3つあり、そのうち2つを選択します。
1.大都市チップの獲得
2.駅舎の配置
3.線路の敷設
この内3で行う線路の敷設により汽車を動かすことが出来ます。
しかし、同色の汽車を2回連続で動かすことは出来ません。

アクションとしてはこれだけなので、それに付随される細かなルールを覚えてしまえば実際やることは簡単です。

ゲーム中は線路を敷設することにより大都市チップ、駅舎、合併でお金を得る機会があります。
詳細は後述しますが、この機会をどうやってものにするかのジレンマが発生します。

ゲーム終了は、株式が残り1種類となる、線路が全て敷設される、いずれかの状態になったときにその手番プレイヤーで終了します。

大都市チップの獲得

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画像の黄色いやつ。
好きなところから大都市チップ(鉄鋼・ビール・皮革・織物・乗客)を獲得することが出来ます。集めたその都市に線路が開通したときに配当があります。

駅舎の配置

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各プレイヤーには対応した駅舎コマがあり、これを任意の好きなマスに配置することが可能です。
汽車や他の駅舎に隣接する位置には配置できませんが、駅舎の配置後であればそのマスに線路を敷設することが可能です。駅舎を最も多くその線路の上に配置しているプレイヤーが、その鉄道会社から収益を得られます。
写真は駅舎の下に鉄道網がなくちょっと変なのですがお気になさらず笑

後からそこへ線路を引くことが出来ないので、次に手番が回ってくるまで待つわけですが、まあ他のプレイヤーがその駅舎に接道しないように線路を敷設して汽車を移動するわけです笑
拒否権というものが利用できますが、そちらについては後述致します。

ちなみに汽車を他のプレイヤーに駅舎に接道したプレイヤーは乗客チップを得ることが出来ます。最後のマジョリティの得点源になります。

線路の敷設(汽車の移動)

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汽車が向いている方向(3方向)の空きマスへ汽車を動かし、汽車がもともと居て空いたマスへ対応した方向の線路タイルを配置します。汽車を動かすと対応した鉄道会社の株が1枚受け取れます。

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まあもちろん自分の駅舎があるマスや、大都市が近ければ多く大都市チップを取っている大都市へ接道するのですが、そうは問屋が卸さない。
ここで前述した拒否権ラウンドが発動します。
移動した時に「拒否」するプレイヤーがいた場合はこのラウンドが実行されます。

手番プレイヤーの左隣から時計回りの順にその鉄道に対応した株を提示します。
提示した株の枚数が最も多いプレイヤーが汽車を動かす権利を得ますが、提示した株は消費します。
手番プレイヤーが最も多くの株の値と同じ数量を提示した場合、手番プレイヤーは初めから置いた場所にそのまま配置します。
逆に手番プレイヤーは自分が最初に置いた汽車の位置以外に自ら再配置することは出来ません。

ちょっとややこしいのですが
1.汽車を動かす
2.株券を入手する
3.拒否権ラウンドの要求を受け付け、拒否権ラウンドを解決する
4.線路タイルを置く

という順番を守れば問題ありません。
つまり、手番プレイヤーは株券を予め1枚多く入手している状態で拒否ラウンドが開始されます。

得点

ゲーム中は大都市チップ、駅舎、合併でお金を得ることが出来、ゲーム終了時の最終決済でさらにお金を得ることが出来ます。

大都市チップ

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大都市へ隣接するマスに汽車が移動すると、その大都市のチップを持っている1位と2位のプレイヤーに配当があります。

駅舎

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ボード上の中継駅へ隣接するマスに汽車が移動したとき、その汽車の線路上に駅舎を配置しているプレイヤーへ配当があります。1位と2位が、指定配当金✕(汽車の鉄道網に隣接する都市、中継駅、起点駅)それぞれの合計数に応じた配当が受け取れます。

合併

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合併は他の汽車か他の汽車の鉄道網に隣接するマスへ当該汽車が移動すると行われます。
動かした汽車の株を持っているプレイヤーが配当を得ます。

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株の枚数の1位と2位のプレイヤーが、指定配当金✕(汽車の鉄道網に隣接する都市、中継駅、起点駅)それぞれの合計数に応じた配当を受け取ります。
移動して吸収された汽車はボード上から取り除き、その場に鉄道タイルを配置します。
最後に吸収された会社の株は2:1の比率で新しい会社の株と交換することが出来ます。

ゲーム終了時の配当

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大都市チップはその種類(鉄鋼、ビール、皮革、織物、乗客)ごとに1位と2位を決め、指定配当金✕数で配当。
駅舎はその数に応じた1位と2位を決め、指定配当金✕(汽車の鉄道網に隣接する都市、中継駅、起点駅)それぞれの合計数で配当。
株は対応した鉄道網の所有する株の数で1位と2位を決め、指定配当金✕(汽車の鉄道網に隣接する都市、中継駅、起点駅)それぞれの合計数で配当。

例えば株式の配当の場合
黄色の株式の数に、その線路上にある都市の数に応じて配当する場合
1番多く持っているプレイヤーは7(都市の数<汽車の鉄道網に隣接する都市、中継駅、起点駅>)×1000ポンド
2番目に多く持っている7(都市の数<汽車の鉄道網に隣接する都市、中継駅、起点駅>)×1000ポンド/2の配当が得られます。

ゲーム終了時の配当を加え所有するお金がより多いプレイヤーの勝利となります。

感想

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アクワイア的株式の戦略✕ライナー・クニツィアによるジレンマは地味におもしろい。
これ好き。地味でビター。

もともとが地味なストラテジーゲームですが、なんとも人間味あふれる展開になりますので独特で病み付きになるようなプレイ感が味わえます。こういうの好きなんです。

プレイをしていく中で3種類の配当をどのように優先するかを決めなければならないのですが、これが人間の意思の介在によって蛇のように揺れ動く笑
しかもどの種類の配当も満遍なく1位と2位を取っていなければならないという難しさ。

しかしダウンタイムは長くなりません。
収入のみで支出がないので考え自体は煩雑にならず、割りとシンプルにプランは決められます。
後は邪魔が入るかどうかです笑
アクワイアと異なり単に株を多く持っていれば勝ちというわけでもありません。
自分が有利に駅舎を保持している鉄道網と無理矢理接道して合併を起こさせる荒業もあります。

どのように鉄道を自分の駅舎や贔屓にしている都市に接道するか、拒否権を行使するまで必要があるか、誰と手を組み線路を延ばすか。

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ゲーム終了時に人間の真っ黒な部分でのみ完成されたこの路線は、まさに利権のためだけに作られた鉄道。
景観はなかなか良いですが、それを考えるとなんとも言えない気持ちになります笑

「駅にそのまま向かえば良いのになんで遠回りする必要がある!市民の利便性を考えているのか!」

ボード上からそんな声が聞こえてきそうです。


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