キレッキレになった楽園の方舟の小拡張をリプレイ

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はじめに

楽園の方舟は2017年春のゲームマーケットで発売された同人ボードゲームです。今回は新しく出た小拡張を含めたリプレイ記としてご紹介したいと思います。
詳しいルール紹介等につきましては前回のレビューを御覧下さい。

可変式ワーカープレイスと程よいインタラクションのミドル級ゲーム「楽園の方舟」
ゲームマーケット2017年春の新作ボードゲーム「楽園の方舟」のレビュー及び感想、ルールです。マジョリティを争うミドル級のゲーマーズゲームです。

システム

ゲーム内容をかんたんに説明すると2このワーカーを配置するワーカープレイスメントで、得点源になる資源と特殊アクションが行える方舟キューブと発言力をうまく使いながらゲームを進めていきます。
但しワーカーを配置するのがイムホテップのような構成で、1つは思い通りにアクションを行えますがもう一つは他プレイヤーを考慮しないと思う通りのアクションが得られません。
発言力以外の資源は直接の得点となり、資源それぞれにそれぞれにマジョリティボーナスが付きます。
また、舟を造るためのキューブの配置は舟が完成したときにも貢献度としてマジョリティボーナスがあります。
これら全ての合算で得点が多いプレイヤーの勝利です。

今回の小拡張は以下の通りで全て入れてのリプレイです(シャッフルしたものを除く)
・方舟カード8枚(新規6枚、改訂2枚)
・土地カード4枚
・使命カード3枚
・手番順バリアント用カード4枚

拡張なしは不思議なプレイ印象でしたが、拡張を入れることで強弱やメリハリがついて、何が強い得点源なのか、どこで誰と勝負しなければならないのか、良くも悪くも輪郭が浮き出たような気がします。

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まず手番順バリアントが追加されます。
以前は発言力が大きいプレイヤーがスタPでそれから右回りに進んでおりましたので、不平等感と隣のプレイヤーが発言力を高めたい方針かどうかの運に左右されました。
私的には手番順が強烈に響くこのゲームにはマストな拡張かと思われます。

さて、今回のリプレイには拡張の方舟がいくつか出ましたね。

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「廃棄場」
こちらはキューブを置いたときの得られる資源が変化します。
途中に勝利点が得られるために究極の二択になるような気がします。

「合議場」
これもなかなかクセのある拡張です。
ワーカーを計算してちょうどよく使わずに残す時があります。
この残った時にローリスク・ハイリターンで使えるのがこちらです。
完成はしないのではと思いましたが・・・

「船長室」
1個で勝利点、2個でスタピー獲得が可能です。
人気になりそう。

「展覧質」
便利カードですね。
資源を即座に基本的には高レートで勝利点に変換できます。
発言力も得られます。

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とりあえずストレスフリーでゲームを進めたいため発言力は高めておきたい。あと資源も欲しい。
場に出ていてすぐに獲得できそうな発言力が一箇所しかなかったためこちらを選択。
残りのワーカーは「取れたら良いな~」程度で配置。

発言力はきっちりGETできたものの、残りのワーカーの資源は程々の量の獲得になりました。

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さてさて方舟はどうするかというと、廃棄場の発言力を取ってスタピーを死守。あとは資源はこのとき同列一位なので勝利点確保に努めます。
発言力は先着1名のみ一定の発言力があれば9点に変換することが可能です。
私の使命カードは無条件2点だったので、ストレスは感じませんが誰かの使命を読んでカットしなければなりません。
使命カードは得点としては高めなので達成されるとかなり点差が開いてしまうことが予想されます。
偏った使命カードはないので順当に進んでいけば達成できるものが多いので無条件2点はハズレです。
(後から思い出したのですが、使命なしバリアントがあったのでそちらのほうが良いかもですね。使命カードは製作者が指針を伝える優しさカードのような気がします笑)

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そんなこんなで発言ばかり取ってたら資源が少ない!
マジョリティ争いに参加できない笑

そこでまだ間に合いそうな人と動物の資源のマジョリティを得る方向を目指します。

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そうこうするうちに第二世代突入で発言力3を一気に貰えるプレイスカードが出現笑
ちまちま一つを一生懸命上げていたのですが発言力が一気に皆んなマシマシに笑
拡張の洗礼を受けます笑

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後は予想外に合議場を選ぶプレイヤーが多かった。
確かに、別にワーカーが居なくても1点の勝利点がつかめるし、完成も6点なので少なめ。そして得られる資源は発言力+勝利点と有用性が高いものばかり。これは確かに使わないほうがおかしいくらい協力な方舟です。

うーん、これを選ばなかったのは無計画ですね。

そんなこんなで合議場の方舟が完成します。
方舟が完成すると投資したキューブの数が1位ならそれに相乗した数の勝利点ボーナスが得られるので完成しそうな方舟には多くの投資をしておいたほうが良いのです。

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第三世代に入り、森3や発言力4などが出てきます。
ゲーム終盤まで2番手は死守していましたが、スタP獲得の方舟の能力を使用されてしまい発言力9点の効果を先越されてしまいます。

なんてこった、です!
発言力はそのままでは得点になりませんので水の泡に・・・ぶくぶくぶく・・・。

うーんこれは他の人の使命カードの邪魔をするしかない笑

もう一人が方舟を一生懸命作ろうとしていたので、おそらく方舟をいくつ作ったらボーナスという使命があるのかなあと判断。
後は自分があまり関与していない方舟が完成されると得点差に大きな開きが出るために、無駄手でも方舟のアクションになった場合は誰も関与していない方舟へキューブを投資します。

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そんなこんなでアクションが行える土地がなくなりゲーム終了。
ここがテーマ通りで良いですね。

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みんな方舟に乗り込み得点計算です。

1位と10点以上の差を付けて3位になってしまいました。残念!

発言力がトップになったときに得られる9点を逃したのが痛い。
前述の通り、発言力の数はそのまま得点にならないのでこれらが殆ど無駄手となってしまいます。
ただトップを狙うなら序盤から手を付けないといけないので戦略的には正しかったのですが。

後は使命カードが2点で他は5点などの点差がけっこうきつかったですね。
序盤は得点トップでしたが世代が変わるにつれて、大振りなアクションが拡張は増えたような気がします。こちらにかんしては一長一短ですね。

炭鉱賛歌でラストの高配当を思い出します笑

トップ差がないゲームがバランス良いものとは思えませんし、序盤でのスタPの動きは確かにストレスフリーでしたし。
私も後から一気に資源を伸ばすことにも成功したので、第一世代の資源得点はちょっと意味を持たないかなとは感じました。
何度かプレイすると戦略的には第一世代は方舟と発言力が要のような気が致します。

インタビュー

こんにちは!楽園の方舟の拡張を遊ばせて頂きました。

手番順以外は特に拡張ってなにを追加するんだろう?と思っておりましたが、今回の拡張を製作した理由をお願いできますか。

今回の小拡張製作に至っては、以下の3つの理由があります。

1.リプレイ性の強化
2.アクション内容のバランス調整(変更)
3.一部不満点の解消

まず、1番のリプレイ性の強化ですが、「楽園の方舟」基本セットにおけるリプレイ性というのは
もう少し物足りないかなと感じてまして。方舟カードや使命カードの種類・枚数が増えることで
組み合わせにも幅が出来て、より高いリプレイ性が担保できるかなと思いました。
「楽園の方舟」はいわゆるスルメゲーだと思ってまして、複数回遊ぶことで面白さがわかってくる
タイプなんですが、その複数回遊ぶ間で組み合わせが被ったりすると新鮮味が失われてしまうのかな、
という危惧もあったので、リプレイ性は大事だなと感じます。
2番目のバランス調整ですが、これは本当に調整というよりは変更といった方が正しい感じですね。
「楽園の方舟」の基本セットというのは、かなり綿密にバランスが調整されていて、その結果ああいう
感じのゲームになっていたんですけども。はっきり言って、「プレイヤーの気づき」の部分に依存しす
ぎてたところがあったかな、と。私自身はそういうゲームが好きなので、そっちの方に舵を取りすぎて
しまった感じですね。なので、小拡張ではそのあたりのバランスを別観点から取り直して、より広く勝敗
に絡めるように調整し直しました。このあたりは賛否両論あるかと存じますが、あくまで小拡張であって、
使いたくないカードは自由にオミットできるので、こういうのもアリかと思って頂ければ幸いです。
3番については、各地で感想を頂いた中で、手番順に関する不満点について確かに改善の余地があるか
と考え、その解消を狙ったバリアントルールを追加しています。基本ルールだと発言力トップが動かない
と、そのまま手番順が固定になってしまいますが、このバリアントを採用すれば発言力順に手番が回る
ため、トップ以外の発言力の数も影響を及ぼすようになります。

以上の3つの理由から、より「楽園の方舟」を楽しんで頂くためにこの小拡張を製作することにしました。

ゲームバランスについて、前作よりもアクションに強弱が多くついた印象です。理不尽に負けることもアレば突然勝ちが見えてくることもありました。意図的にこのようにしたのでしょうか。

そうですね。好みは分かれると思うのですが、おおむね意図的にそのような調整をしています。
理由としては2つほどありまして。1つはすでに前の項目の2番目で挙げているように、基本セットの綿密に調整したバランスから、より間口を広げるために幅広く勝敗に絡める形へ変更を試みたからです。
もちろん、完全に運否天賦という訳ではないですし、積み重ねが得点につながるという点は変わっていませんが、基本と比べるとそうした部分をゆるくしているというのは意図的に行ったところです。
もう1つは、あくまで小拡張という形であり、使用するカード・しないカードを自由に選んで決めることができるからです。
基本セットのバランスがより好みであるという方もいらっしゃるでしょうが、そうした方は使用するカードを選んで頂けばいいと思っています。
たとえば、追加の土地カードを使用せず、追加の方舟カードから一部を取り除けば、ほぼ基本セットと同じバランスで追加カードを使ったゲームを楽しんで頂くことができます。
(賭博場、廃棄場、あとはお好みで工作室あたりをオミットすれば良さそうです。)
ゲームシステムの変更を伴わない小拡張なので、好きに使用カードをいじくりまわして自分好みに出来るのが利点の一つかな?と思っています。

特にカードということですが、それでは特に伝えたい拡張の見どころや、具体的な船やマスの名前を教えて頂けますでしょうか。

まずは、なんといっても方舟カード・使命カードの追加によって、ゲーム展開の幅が広がったところです。
特に「もっと方舟を!」というフレーズの通り、方舟カードが追加・改訂されたことで、ゲーム中に出てくる方舟カードの組み合わせも増え、より多様なゲーム展開が生まれるようになりました。
追加された方舟カードは、基本セットと比較しても強力かつクセの強いものが多いので、ぜひ使いこなして頂ければと思っています。
また、土地カードの追加によってアクションマスのバランスが均一化された上で、ゲーム毎に多いアクション・少ないアクションが見える形でわかるところも、戦い方に関わってくるため見逃せないところです。
手番順バリアントルールを採用すれば、厳密に発言力に応じた手番が保障されるため、手番順の不公平感が解消されてよりゲームを楽しむことに集中できるようになります。
あくまで小拡張であり、使用するカードを自由に選べるところも特徴で、一部のカード・ルールを使用しないことで基本セットの時とほぼ同じバランスで追加カードを用いた「楽園の方舟」を楽しむこともできます。
ぜひ、追加カードをいろいろと試してみて、自分がもっとも楽しめる「楽園の方舟」を設定してみてください。

とりあえず、注目の方舟カードと土地カードのマス特徴について述べておきます。

・賭博場
数字を宣言し、サイコロを振って、出目と宣言が合っていれば3VP!
前から構想はありましたが、基本には絶対に入らないカードですね(笑)
カジュアルっぽさがいい感じに高まるので、そういう集まりの時には使ってみてください。

・船工房
方舟建造を進めているほど効果が強力になる、小拡張のテーマを象徴するかのような方舟カードです。
「もっと方舟を!もっともっと方舟を!」

・合議場
手元にワーカーコマを残しておくと、効果が強化される方舟カードです。
これを上手く使うには、事前の計画が必要不可欠なので、上手く使って欲しいですね。

・追加土地カード
とにかく祭礼品マスが多く、ついで動物マスが多くなっています。
相対的に植物や方舟建造のマスが少なくなるため、基本セットと合わせることで各アクションマス数が均一に近づきます。
実際には基本と追加をまぜた上で、前半・後半2枚ずつ抜くので多いマス少ないマス毎がゲーム変動する訳ですね。
それを確認した上で、ゲームの指針を立てていきましょう。

最後に一言お願い致します。

「楽園の方舟」をより面白く遊んで頂くために、あるいは別側面からの面白さを体験して頂くために「楽園の方舟・小拡張」を製作しました。
追加カードのみによる小拡張で、リプレイ性の強化やバランスの変更・調整が施されています。
すでに「楽園の方舟」をお持ちの方は、ぜひ追加カードを入れて楽しんで頂いた上で、自分好みの追加カード・追加ルールだけを選択したマイ「楽園の方舟」をつくってみたり、あるいは全部入りで新たなバランスを心行くまで体感するなど、様々な形で楽しんでみてください。
また、「楽園の方舟」をお持ちでない方も、これを機会に「楽園の方舟」とセットで「楽園の方舟・小拡張」をお求め頂き、楽しんで頂ければこれに勝る喜びはありません。
直近ではゲームマーケット2017秋、土曜日のH006にて「楽園の方舟・小拡張」および「楽園の方舟」を頒布いたします。
2人用ルールも追加され、幅広く遊んで頂けるゲームになっております。
ぜひ当日はブースの方にお立ち寄り頂ければ幸いです。ここまでお読み頂きありがとうございました!

感想

今回の拡張で自分が何を目指したいか、何が起こるときついのかがはっきりと分かりやすくなったと感じました。
良いか悪いかと聞かれれば、私は良いと答えます。
理由と致しましてはある種のモヤモヤとしたシステム群が、どこで何が繋がっているか、歯車として噛み合うのかがプレイしていて分かるためです。
前回のマジョリティの集合体という不思議な感じから、きちんと「方舟」というシステムがメインとして動いてくれます。

終わる時間も1時間程でお手軽です。
王と枢機卿やアンタークティカのようなマジョリティ争いが好きな方にはいかがでしょうか。
メイン2500(拡張は+500)円はとても手が出しやすい価格です。
試遊して良いと感じたらそれはお得というやつですよ!

デザイン ナナツチ(TDS)
イラスト ナナツチ(TDS)
人数 2~4人
時間 30~45分
年齢 10歳~
価格 500円
発売 2017秋
予約 https://goo.gl/forms/xVaAH1UsXGZqLJmZ2

2017秋 土-H006

 


参加か出来なかった、もしくは買い逃した方は同人ボードゲームのラインナップが豊富にある通販ショップの駿河屋がオススメです。

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