硬派な拡大再生産に妙なワカプレが結び付く、世紀末を生き延びろ「アウトリブ/Outlive」

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  • 4/10
    運 - 4/10
  • 6/10
    戦略性 - 6/10
  • 5/10
    コンポーネント - 5/10
  • 6/10
    テーマ性 - 6/10
  • 7/10
    インタラクション - 7/10
  • 5/10
    プレイアビリティ - 5/10
  • 6/10
    プレイ頻度 - 6/10
5.6/10

抜粋のみを表示

実プレイ時間:80分(インストは別途10分)
プレイ人数:1-4人
推奨プレイ人数:3人
お気に入り度:
お酒との相性:
難易度:Lv.3
日本語化:必要
発売年:2017
ゲームデザイン:Grégory Oliver
想定価格:5000円

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はじめに

テラフォーミングマーズが発売前にも関わらず再販が決定しました。
人気の商品はもちろん売れる見込があるので再販されると思うのですが、あまり人気を集めなかったマニアックなボードゲームはどうなのでしょうか。
小ロット高単価で発売されることはありそうですが。

今回ご紹介するアウトリブは言語依存の高い仕様です。
幸いなことに今年2017年8月下旬に日本語版が発売されております。

おもしろいボードゲームなのですが、システムが独特な雰囲気のボードゲームで、ちょっとマニアックです。
そのため爆発的人気作になるわけではなさそうで、完売後、日本語版が再販されるかは微妙なところ。

ただ確かにこの雰囲気に似ているボードゲームは少ないでしょうし、アウトリブがやりたいなあとたまに思うかもしれません。
このまま目立たず終えるのはちょっともったいない。

そんな少し変わったボードゲームを紹介していきます。
あ、あとこのボードゲームは推奨3人です。
4人プレイとの比較もレビューしておきますのでご参考下さい。

テーマ

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核戦争後の世界で、放射能と他の集団に打ち勝ち、生き残るのはどのクランだ?

かつての世界は、最後の水源を巡る全面戦争によって破壊された。
地球人口は推定3万人でなおも減少中。
この地では、生存者が4個のクランを形成し、地下シェルターで生存競争を繰り広げている。
彼らの唯一の望みは、世界中を移動して優れた生存者を集めている「コンボイ」と呼ばれる集団に見いだされること。
コンボイの眼鏡にかなったクランは、海中に隠された人類最後の都市に移住できるのだ。
はたして、あなたは「コンボイ到着までの6日間」を耐え抜き、選ばれし者になれるだろうか?

引用元;

Amazon.co.jp

システム

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コンボイの住人になるために自分のクランの人口を増やします。
6ラウンドの中で武装を充実させ、クラン内部の放射能汚染が低く実績のあるクランがコンボイに選ばれて勝利となります。

勝利条件に繋がるポイントは以下で獲得できます。
6ラウンド中に最もポイントの高い人の勝利です。

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  • 人口の多さ(部屋が完成されていれば数に乗じたボーナス有)
  • 武装(セットコレクション有)
  • イベント解決

準備

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ラウンド最初にボード上に書かれている資源を置きます。
ラウンドが終了する毎に、このボード上の足りなくなった資源を補填します。資源が増えるわけではありません。

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イベントがラウンド毎に毎回めくられます。
こちらに関しては後述します。

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チームリーダーと、そこに示されている初期資源を受け取り支持された場所へワーカーを配置します。

さらに個人ボードのクランに配置するルームカードをドラフトしてゲームを開始します。

ワーカーの動かし方

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手番でアクションマーカーが動かせます。
初めは横に寝かせて置きますが、動かした後のワーカーは立てるように置きます。

動けるエリアは1-2マス。
自分のマーカーがいるエリアには行けません。
また、同じエリアに留まることも出来ません。

これがものすっごい煩わしい。
このボードゲームの醍醐味かってくらい変な雰囲気が出てきます。
1番邪魔なのは他人のコマよりも自分のコマです。
自分のコマで、かつ自分が動かしたコマなのになぜここまで番狂わせが起きるのか。
自分のせいなのですが不思議で仕方ありません笑

移動したあとはコマが立っているところで効果が置きます。
基本的なワーカープレイスメントです。

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ワーカーにはそれぞれ数字が書かれています。
それはそのマスに止まった時に行えるアクション数です。

例えば銃弾が得られる場所で3のワーカーを配置すれば、銃弾を3つ獲得できるというわけです。

プレッシャー

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ワーカープレイスメントですが、既に他プレイヤーワーカーコマが置いてあるマスでも置くことが可能です。

移動先に他のプレイヤーワーカーコマが既に立っているマスに止まり、かつ置いてあるワーカーコマより自分の数字が大きければ、プレッシャーアクションが行われます。
数字が低いプレイヤーは後から来た数字の差分だけ数字が強い相手に資源を支払わなければなりません。
この時、差分の銃弾を保持していればその差分の銃弾を支払うことで回避出来ます。

画像の場合は3が置いてある状態で5のワーカーコマがやって来ると差分2個の資源をカツアゲできてしまいます。そのため銃弾を2つ支払回避することも出来ます。

逆に5が置いてある状態で3がやってきても何も置きません。
あくまでやってきた数字が置いてある数字より大きい場合にプレッシャーは発動します。

最初これを確認したとき、直接攻撃しまくりのゲームのように思えましたが、実はそこまで多くなくむしろ良調整でした。

というのも、やられたら銃弾で回避できる、つまり初めから防衛するように準備が出来ますのでそこまでヘイトは買いません。
さらに、資源をわざわざ奪うよりも効率的なマス目に行ったほうが勝利には近づけるので、わざわざプレッシャーするために移動することもありません。
あくまでオマケ程度ですが、これがギリギリでなかなかにユニークなジレンマを生み出します。
「奪われたくないけれどどうしよう・・・うーん仕方なし!」という二種択一ではない、程よいジレンマなのが小気味よく働いています。
先程もお伝えしましたが、何かあれば弾丸を備えておけば良いし、最初から大きな数字が記載されたコマを動かせば良いわけです。

4人プレイでも同様に回避できますが、ちょっと数が多すぎます笑
特に毛嫌いするほどのいやらしいプレイはありませんが、プレッシャーによって何度も計算狂いが生じます。
ワチャワチャし過ぎて、カオス笑
終末感があり逆にこれがウケます笑

ボードの効果について

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ワーカーを配置した時に起きるアクションを説明します。

ボード上に置いてあるタイル(資源)は、誰かが取ったら次のラウンドまで補填されませんので注意して下さい。

軍事基地

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弾丸がもらえます。

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右上に葉緑素マーカーがあり、1アクション消費で個人ボードの放射線ゲージを下げます。
一度使うと次のラウンドまで使用できません。

採掘と遊園地

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ここには動物タイルがあり、ハンティングを行うことが可能です。
また、それぞれのエリアで鉄資源・木資源が手に入ります。
ちなみに人をハンティングするような物騒なシステムはこのゲームにはございません。
動物の倒し方はコマのパワーと銃弾の数で決まります。
同等かそれ以上の数であれば肉が貰えます。
尚、パワーがアクション数なので、全てのパワーを使えばそれでアクションは首領となります。

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貰える肉の数ですが4種類の数字があります。
最初は1番左に表記された数字分の肉が貰えます。
既に獲得した同じ数字(パワー)の動物をハントした場合は、もらえる肉の数が増えます。
美味しく(効率よく)調理するための経験が貯まるというわけです。

ちなみに私はジビエの中では断然ワニが好物です。
オットセイなどあっちの方はどうもアンモニアが強く、あまり好きになれません。
ワニ肉はどちらかと言えば鳥と牛の中間のような歯ごたえで、弾力があり意外と濃厚です。赤ワインとよく合い、ジャーキーにしても美味しい。赤羽の民家のジビエ料理屋と、高田馬場のサーカスにはよく行ったものです。

貨物船

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コマに記載されたパワー数のところでしか置くことが出来ません。
ここでは記載された数の缶詰と1人の生存者を救出します。
最初にここへ置いたプレイヤーは次ラウンドのスタートプレイヤーの権利を獲得します。

缶詰超重要。
後述しますが他の新鮮なお肉は腐って使い物になりません。缶詰は永久保存可能。

缶詰と言えばシーチキンですが、皆さんは由比缶詰所というところをご存知でしょうか。

〈公式〉由比缶詰所ウェブサイト
由比缶詰所公式サイト。厳選された素材を使い丁寧に熟成させて作るツナ缶詰「ホワイトシップ印」のご紹介です。静岡県清水区由比の小さな港町で70余年、ゆっくりまじめにコツコツと製品づくりをしています。

実は漁船でバラムツを釣りに友人3人で駿河湾に宿泊したことがあるのですが、そこの女将さんと仲良くなってこの缶詰を10缶も頂きました。
これがまた美味しいのなんのって、缶詰の独特の癖もなく、程よく口の中でホツレていく感じがたまらない。
マグロのやんわりとした味わいと、エクストラヴァージンオイルの香りがうまく溶け合いまさに絶品。
聞けば予約で今は買えないとのこと。
後日人気(?)が落ち着いた後にいくつか購入して、皆んなに配りましたが好評でした。
特にこれとイカスミで和えたリゾットなんかは、もうカロリーなんか気にしてられないほどたらふくいただきました笑

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おすすめ。

水質浄化ダム

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水資源が貰えます。
しかしながら水は汚染されているのでそのままでは獲得出来ません。

ここでは水質浄化装置を1チップ使うことで水が獲得出来ます。
1チップ消費すればワーカーのパワー数とある資源数分だけ獲得出来ます。

都市2箇所

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探索でランダム10枚からパワー数分のカードを引くのと装備品が獲得出来ます。

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ハズレも10個中2個入っていますが、中には1水資源があります。
装備品は初めに3枚がオープンされ、速いもの順で入手出来ます。
誰かが獲得したら何を獲得したかをオープンしなければなりません。
もしハズレが全てオープンされていれば、必ず何かしら当たることになります。
中には水資源もありますから、迂回して頑張って水資源を取るよりも計画的にこちらを引いて獲得していくプレイが良いかもしれません。

夜フェイズ

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先ずイベントの解決をするかどうかが各プレイヤーに問われます。

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イベントは誰かが資源コストを払えば解決し、そのまま勝利点になります。

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但し解決出来なければ、そのまま辛い環境が他イベントと重なり永続的に続くので、ここは助け合いの精神が必要となります。
本当に食糧が少なくなったり、とにかく辛いことが重なるのはけっこうな重荷なので、自ら率先してバンバン解決していく方が良いです。

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以降の手順は個人ボードで行われることのため全て同時アクションで問題ないかと思います。

食料供給

個人ボード上に応じた人トークン分の食糧を支払います。
水、缶詰、肉で持ち越せるかどうかが異なります。
食料が足りないと生存者は死にます。ごめんよ。

放射能対策

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毎ラウンド放射能によって汚染されます。

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0が上限。-11以上になった場合、それ以上の数だけ人が死にます。
エアロックに人が居れば汚染を防止することが可能です。

ここがゲームの勝利点へと直接反映されます。

生存者の獲得

食料を支払った分だけ生存者を獲得することができ、エアロックに配置できます。
エアロック以上の生存者を作り出すことができません。
このアクションがあるために食糧を余らすということは早々ありません。

 

ルームの建設

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資源を支払えばルームが建てられます。
資源払えば一回に何回でもおk。

ルームの能力

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それぞれルームでは能力が異なり、人を満室で配置できれば能力を得られます。
いつ発動するか書いてないやつはルームの建設フェイズで発動。
能力発動の順番は特に決まっていません。

初期資源の配布時にこれらのルームを取捨選択出来ますが、強弱がはっきりと別れるために、各能力を記載した説明書をサマリーとしてコピー配布した方が良いかも。

プレッシャーを受けた時、自分のワーカーパワー数が3の場合1回だけプレッシャーを無効にする能力があります。
しかしながら3人プレイ時は1-2回、4人プレイ時は5-6回と差が激しいです。

都市の山札を見れる能力があるのですが、放射能を-1するヨウ素液や水など強い資源を思うように獲得できるので、人数が少ないとこちらは逆に有利な能力でした。

ルームの能力はプレイ人数も考慮すると良いかもしれません。

装備の修理

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装備品は獲得時はボードの左側に配置し、壊れている状態とします。
ここで資源を払うことで修理します。
使えるようになったら右側へ配置します。

武器はけっこう簡単に入手出来て、かつ勝利点へとつながるセットコレクションの要素を含んでおります。またルームの能力と異なり主にこちらが即効性のあるアクションの拡大再生産となりますので、戦略で迷ったら武器の製作を行えば後々得点へ繋げやすくなります。
装備品とルームの能力はシナジーが強いため、自分のルームの能力と組み合わせながら選ぶことをお薦めします。

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特に強いと感じた武器の組合せはノコギリと登山用フックですね。
ノコギリはワーカーが貨物船に置かれた時に鉄を2つ得ます。
さらに登山用フックは通常ワーカーのパワー数で貰える缶詰数が決まっているのですが、無償でランク上の缶詰が貰えるところへ配置出来ます。
そしてこの2つはセットコレクションになりますので作成後は勝利点にもなります。

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これにルームの能力である【貨物船】があるとチート級ですね。
このルームの能力は+2個缶詰を得て、ワーカーが既に満杯になっていたとしても、無理矢理配置出来ます。
つまり、登山用フックで缶詰をワンランク上の獲得数にしつつ、ルームの能力で満杯でも無理やり配置してさらに+2個の缶詰を得るという笑

登山用フック+貨物船のコンボは気付く方も多く、これは製作者の意図としてあからさまですが、他にもルームの能力でイベント達成時の資源を減らして、武器の能力で資源を得るなんて強いものもあるので、ここらへんは純粋に楽しめます笑

シェルター(食糧)の管理

肉は全部腐ります。
保存できる機器なんてもうこの世界にはありません。
水は2つまで残せます。
缶詰は腐りません。
前述の通り食糧を余らせるということはあまりありません。

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ワーカーを動かし夜フェイズが終われば1ラウンドが終了し、2ラウンド目に移ります。
上記を繰り返して6ラウンドでゲーム終了です。

感想

おもしろい?おもしろい・・・うーん笑
硬派な拡大再生産のクセして妙なワーカプレイスメントのため、すごい雰囲気が独特。
ルームカードの引きはドラフトになっていますがもう少し調整が必要かもしれないです。

3人だとある程度計画的に物事が進められるので、対立しつつ疑似協力するというこちらも何とも言い難いおもしろさ(?)があります笑
4人だと「プレッシャあああ」と言い合いながらゲームを進めるので、計画なんて要らず(というか出来ない笑)パーティー感覚で楽しめます。
4人プレイはカオス過ぎて世紀末って感じ笑

全体で1人20分程のためサクッと手軽なのは良いですね。夜フェイズはイベント解決以外同時アクション出来るので楽です。
ああ、ただ3人だとわりかし先を考え過ぎることが出来てしまいます。
あのワーカーのアクションは3パワーだからあそこは動かさず、4のアレを動かさずとして・・・というように、悩む方はとことん先まで読んで悩まれるかもしれません笑

直接攻撃に関しては自分で対処出来るように作られているし、運によって左右するものもなく、攻撃する側もそこまで大きなメリットも得られませんから良い塩梅です。

随分と妙ちくりんで変ったボードゲームですが3人プレイなら割と好きです。
独特でたまにやりたくなる感じ。

売り切ったら再販されるかな?うーん、爆発的に人気になるようなものではないので希望は薄いかも。
言語依存が高いので日本語版があるうちに、物好きな方はいかがでしょうか。

こういう系統のボードゲームって、販売終了後から火がつくこともありますからね。

 


Amazonより安い価格(中古のボードゲームや新品等)で売っていることもある駿河屋もお薦めです。ホビー/グッズ販売 通販ショップの駿河屋

エラッタ一覧が公表されておりますが、そこまで大きな影響を与えるものはなさそうです。

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下記のエラッタは注意。

ルール説明書 4ページ 「2/各プレイヤーの準備」図の一般ルームタイル3枚目[New]
誤:
イベント解決:資材-2もしくは食糧-1
正:
イベント解決:資材-2・弾薬-2もしくは食糧-1

 

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