洗練されたオークションギミックでロンドンの街並を築き上げる「キー・トゥー・ザ・シティ・ロンドン/Key to the city London」

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はじめに

Breese, Richard(ブリーズ・リチャード)の作品であるキーシリーズのうちの一つ。
本業が会計士ということだけあり、非常にシンプルでありながらジレンマを伴う個性豊かな競りゲーを手がけている。このあたりはライナー・クニツィアの影響を強く受けてはいるが、リチャード氏のゲームメイクはクニツィア氏と比べてよりシンプルであるという印象が強い。
システムで人間の多様性を引き出すことに長けているクニツィア氏に対して、リチャード氏はよりシンプルなシステムを目指し、そしてより人間味のある部分を浮き彫りにしている。

例えば今回のオークションでは同色でなければならない、と言ったシステムが付け加えられている。元来であればそれは種類やルールの追加等で補っていたが、それを視覚化し色数を限定することにより、よりシンプルで奥深い競りシステムに仕上がったというわけだ。

元々この競りシステムがあったキーフラワーに、さらに競りのみに焦点を当て、活かされるよう改新されたものが今回のボードゲームである。

私の好きなボードゲームの一つにモルゲンランド1)しばらく絶版であったが最近Aladdin’s Dragonsという形で再販されたというものがある。
こちらは大きなボードで同様のルールの競りを2時間以上ひたすら行う、いわゆる本当に競り好きでないと愉しめないマニアックなゲームであるが、実はこのボードゲームはリチャード氏の処女作(たぶん)ということに今更ながら気付いた。

モルゲンランドをやれとは言わないが、1時間以内で終わるこの秀逸な競りシステムを、是非とも一度は味わって欲しい。

ここがたのしい

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  • 拡大再生産✕競り✕ワカプレという組合せの良いシステム
  • キーフラワーの改新版として、よりシンプルに競りのみを楽しめる
  • ゲーム終了時の街並みが素晴らしい

システム

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第4ラウンドまで行われる競りと通して自分のロンドンを築き上げ、勝利点がより高いプレイヤーの勝利です。

この競りで使われるミープルはボードゲーマーたちの間ではキープルと呼ばれている。
このキープルはワーカーにもなるし競りの対象にもなる。
このシステムはスパイリウムに似ていて、対象物を囲うような形式はそのままである。

テーマ 現代とは異なる蒸気文明、そこに「スパイリウム」という万物全ての錬金に関わる希少物資があった。 スパイリウムは...

衝立とキープルとロンドンの首都となる本拠地タイルを初期資源として受け取りゲームスタート。

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タイルを競り落とすことにより、中央の本拠地タイル1枚から拡大していくという流れだ。

アクションは下記4つの構成となり、全員が出航したらそのラウンジは終了。

  1. 中央タイルへの入札
  2. タイル効果の発動
  3. 建物の改築
  4. 出航(ハードパス)

入札

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さて、肝心の場への入札方法だが先述の通り、中央にある共通タイルにこのキープルを利用することになる。

欲しいタイルと並行した向きに、スタートプレイヤーからキープルを置いて入札する。
無論スタートプレイヤーが有利のためスタPは可変する。

この写真の方向のプレイヤーだと黄色の向きとなる。
タイルに他プレイヤーのキープルが置かれていなければ、好きな色を入札出来る。

つまり、他のプレイヤーのキープルが置かれていた場合は入札するためにそれと同色でかつそれ以上の数のキープルを入札しなければならない。

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高値の入札が入ったとき、どうしてもそのタイルが欲しければその数以上のキープルを入札しなければならない。

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画像であれば元々1個の入札であったのに高値(2個)を付けられてしまった。そのため赤キープル2個に対して3個の入札である。

ここで特徴的なのは手元のキープル意外に、既に入札しているキープルを移動して高値として入札出来る。
例えば既に他のタイルに置いてある赤キープル2個を移動させて、はじめにある1個+2個で計3個という入札が可能だ。

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相手の手元にあるキープルは衝立で隠れているため、相手の保有しているタイルのみからしか入札の予想は立てにくい。
入札後であれば相手の持ち数や色が分かるが、落札されては意味がない。
しかし、この移動入札のお陰で相手の情報を読み解きつつ欲しいタイルを入札出来る。後出しではあるが、落札できる種類が減るというデメリットもプレイヤー側は有るのでなりのバランサーの役割を担っている。

タイル効果の発動

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自分のタイル、落札していない場の共通タイル、相手のタイル、全てのタイルの上にキープルを置くことでタイルの効果を得られる。

相手のところへも置けるところがすごい。

何も置かれていなければ良いが、既にキープルが置かれていれば入札と同じく同色でその数以上でなければならない。

ちなみに中央のタイルに置いた場合、落札されれば置いたキープルはその落札者のものとなり、相手のタイルに置けば相手のものとなる。

タイルの効果は下記の2通り

  • コネクタの追加
  • 技術トークンの獲得

技術トークンを獲得することによってタイルの改築の素材に利用したり、コネクタでタイル同士をつなげることによって勝利点ボーナスになったりと様々。

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建物の改築

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タイルに書かれている素材を持っていれば、そのタイルの上にキープルを置くことによってタイルを裏返し、より高い効果や得点のタイルへと改築が可能。
特定のタイルには裏返した後にさらにその上に特定工作物を建築することができ、10点超えの大きな得点源となる。

出航

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手番でやれることがなくなれば後は出航するのみ。
終了した順番でボーナスが先着順で得られる。
次のミープルの数であったり、スタートプレイヤーであったり、単純に勝利点であったりと様々だ。
ちなみにミープルは袋から指定の個数をランダムで入手できる。
つまり、どの色がくるかは運になる。
しかしながら、どの色を相手に情報をして提供するかがこのゲームの焦点であり、情報を全て出し終えた後からが肝の勝負である。
そのため一定のアブストラクト的要素が携わっていることは否めない。

ゲーム終了

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全員が出航した場合そこでラウンド終了となり、全4ラウンドが終了した時にタイルのなどの得点が1番多いプレイヤーの勝利となる。

感想

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システムがゲームと準じているかと聞かれれば何とも言えないが、アートワークは非常に美しい。
そのアートワークごとのロンドンの街並みを丁寧に説明している別冊子もこのボードゲームの魅力の一つだ。

そして、本作品はキーフラワーの簡易版との評価が多い。
しかしながら当サイトでは改新として記載させて頂いた。

というのも、リチャード氏がこのボードゲームでやりたかったことは、単にキーフラワーの簡易版を作るということではないと感じたからだ。
この競り及びオークションのシステムを磨き上げ、どこまで味わうことに集中できるかに挑戦した意欲作なのだろう。

確かにやり終えた後に物足りなさを感じることはあったが、それが不快に繋がるような消化不良であるわけではない。

どちらかと言えばリプレイ性を高める味わいである。

可変式のタイルや、何度プレイしてもゲームバランスを壊さないランダム性はまさにリチャード氏が計算された通りのプレイ感だろう。

6人までに設計されたこのボードゲームは、人数をあわせる必要性もあるために、大ヒットとなるようなものではないことは明白だ。

しかし、多くのゲーマーがこのシステムに陶酔し、自分が築き上げたロンドンの景観に恍惚としているのだから、プレイする価値は必要十分と言えるだろう。




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References   [ + ]

1. しばらく絶版であったが最近Aladdin’s Dragonsという形で再販された
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