オーナー達の私利私欲に塗れた百貨繚乱の店「HYAKKATEN」

2019年 ゲームマーケット ゲムマ春 様の新作ボードゲーム「HYAKKATEN」のレビューや感想、製作者様とのインタビューや戦略等をまとめました。なかなか程よく狂った百貨店が出来上がるさまは見ものです笑

はじめに

このデザイナーは天才か?と思わせるデザイナー様の内の一つです
横取りジュエルで凝縮された素晴らしいバッティングゲーを編み出し、パーティーゲームの「突撃!今夜の晩ごはん」も面白い。なんだこの天才デザイナーは。

そして満を持して重ゲーに挑戦!
私の中のハードルがとても高いせいで、戦略へのインタビューは辛口酒すごろく(デフォルト)が出ておりますがご了承下さい。
というよりもう土俵がドイツゲームと比べてしまってるんですよね
このゲーム、面白くて。
何れにしても、ゲームマーケットという舞台の中では大変素敵なゲームであることは間違いありません。

システム


プレイヤーは一つの百貨店のオーナーとなり覇権を争います。
テナントへの誘致、顧客の誘導、広告の設定等、様々な経営戦略を行い、勝利点がより多いプレイヤーがその百貨店のオーナーとなります。

百貨店の中へ店を誘致する


はじめに、この百貨店には殆ど何もテナントが立っておりません。
お客様が足を運んでくださるには、その百貨店の中にあるお店の魅力が重要となります。
そこでオーナーたちはスタートプレイヤーから順にテナントに誘致する店を選びます。外食店、理容室、衣類ブランド等様々な店から選びます。

店をテナントに誘致するには記載されたコストを支払わなければなりません。
上段4店舗、下段4店舗に分かれており、全8店舗を選びます。
下段は誘致に+2金余計に掛かります。
次のラウンドで上店舗のなくなったところへ下段の店舗が上へと行くため価格は元に戻りますが、どうしてもその店舗を配置したい時は余計に2金払うことも多いです。

コストを支払い店を百貨店内に設置しますが、設置時に①各ランドで得る基本収入を上げる②勝利点を上げる企業があり、記載がある場合は即時どちらかもしくは両方を上げます。
企業には①②の他にも③色④支払い金額があります。

色はそこの店を通った顧客が店と同色なら必ず買い物をします。
ぜったいその店に入って買い物します笑

買い物をした時に支払われる金額は④の支払い金額で決定します。
お客が支払った金額は銀行からその店を設置したプレイヤーへ支払われます。
ではそのお客はどのようにして店へと足を運ぶのかと言えば、次の広告の競りで決定します。

広告主の決定


広告主は各色(青黄緑赤)の広告で一斉競りを行い、誰がその色の顧客を移動させる権利を得るかを決めます。
広告にたくさんお金を掛ければ、その色のお店に行きやすくなるということですね!
お客さんが足を運んでくれるようにしなければ、そもそもお客さんは来ずお金も入りません。
百貨店という設定通りで大変分かりやすい。


気をつけなくてはならないのは前ラウンドで5金を支払っている場合、次ラウンドも5金に相当する金額を払わなければならないということです。
黒が5金の位置に居れば、競りは必ず5金以上でなければなりません。写真では6金を支払い見事競りに勝つことに成功しています。

また、広告料はラウンドを重ねる毎に高くなります。
基本収入を上げ、お客さんが通る=どのように他プレイヤーが各色のお客さん駒を動かすかを読まなければ、競りにも参加出来ない可能性があります。

広告主が決まれば後はお客さんがどのように動くかを決めます。

お客の移動


各色競りに勝ったプレイヤーが広告主として各色のお客を移動させます。
この時にダイスを一つ振り、2以上が出ればそれを移動する数として移動させます。


1の場合は振り直しです。
いくら良い位置に店を配置しようと、どのように店を巡るかを考えても、どうしたってどの目も確率は1/6なので、後は運に身を委ねる形となります笑
こちらについての考察は後述致します。

お客は自分と同じ色の店を通ればそこのお店に記載されている額を必ず支払って買い物をします。
そこのお店を設置したプレイヤーがその金額を受け取ります。
画像の場合は青が黒の店へ通ったので黒は銀行から3金を得ます。
銀行から店へ支払われた額の5金毎に、客を移動させている広告主は1点を得ます。写真の場合は青ですね。さらに移動した店舗の数×1金を受け取ります。

上の階層へお客が行くためには両端にある階段を利用しなければなりません。
これだとかなり大回りして移動しなければならないので、実は「百貨店の中へ店を誘致するフェイズ」でお店を設置後に1金を支払うことで好きな場所にエレベーターを設置します。
ただこのエレベータは誰でも使用でき、かつ、もちろん自分が広告主として競りに勝たなければならないので、うーん笑
周りに便乗されることが多いです笑
序盤なんて勝利点も入らず、回る店も少ないのでエレベータは作らない方は良いと思いますがルール的には作れるようになっています
最初にこれに気づけないと利用されるだけになって悲しい思いをします笑

ちなみに同色のところで止まっているところから移動する場合。
その店に居るわけですからそこへお金を支払います。
つまり、結局は他プレイヤーにお金を落とさないように自分が設置した同色の企業で移動を終わらせればほとんど自分だけ勝利点とお金を獲得することも可能です。

以上を繰り返して最後の7ラウンド終わりには全ての店舗タイルが百貨店を埋め尽くします!この光景は圧巻です。
皆自分の利益しか考えていないので、カオスな百貨店になること間違いなしですね笑

感想

アクションの構成は複雑かと思いきや、極力簡易的でかつ戦略性を求めるようなゲームにしようというデザイナー様の苦労、こだわりが感じられる素晴らしいゲームです。

それに伴い、どんなに良い状況で店舗タイルを配置しても結局出目1/6に左右されてしまうので、良くも悪くも最後は運否天賦、運ゲー感があります。
競りも一斉競りなのでジワジワと行うようなものではなく、毎回決まったプレイヤーが一気にお金を支払うような豪快さがこのゲームを分かりやすくしてくれます。

どのプレイヤーとバッティングしているかがわかりやすいので、2名のプレイヤーは0金で競りから辞退して、他2名が10金や11金を出して僅差で勝つ、というようなものなので、緻密な駆け引きというよりも、かなりアクティブな競りになることがほとんどです。

ゲーマーズ同士が良いか、それとも初心者にお薦めかと聞かれると、迷いますね笑
かなり時間は要しますがアクションは簡単なので特に迷うこともありません。
ダウンタイムもやることが決まっているおかげで後は決断するだけです。

こんな感じで行けたらなーと思いながら配置しても、結局ほかプレイヤーに競りで勝たれたり、出目に左右されるので、
ゲーマーズ同士でやると【競りに勝ち、かつサイコロで2が出ても勝利点やリターンが必ずある】という戦略が多くなりそうです。それらを繰り返すプレイであれば良い意味でのソロプレイ感があるかもしれません。

初心者でも分かりやすいルール初心者同士でも十分楽しめる作品です。
なるべく同じ熟練度同士でやりたいかな。
運否天賦と私は言ってますが、実力差はしっかりと出るゲームです

どんなに頑張っても1/6の出目しか選べないというのが私は苦手ではありました。
まあそのため他者への干渉をパスして運に左右されない戦略を選びましたが笑

例えばサイコロ2つを利用した確率分布・試行回数への考察、運への戦略の介入といった方が好みなのですが、このゲームは最後は完全に運です。これは蓼食う虫も好き好き。
1/6ということで、これはこれではっきりとしているので、出目でわちゃわちゃ笑えるのは良いですね笑

以下はインタビューと戦略に対する質問となります。
戦略に対する質問は主観では御座いますので出来る限りプレイ後に御覧ください。
あ、あと戦略の部分は期待値が大きすぎたために辛口です。ごめんなさい笑

インタビュー

さけ
さけ

こんばんは!それではインタビューさせて下さい。
では今まで30分程のゲームをお作りになられておりましたが、今回俗に言う重ゲーを作られた経緯について教えて下さい。

エル
エル

はい、今回、重ゲーを作ろうと思ったのは一つのチャレンジとしてやってみようと思ったからです。
これまで細かいものも含めて4つのゲームを作ってきた経験を生かして自分がどれだけのものを作る事ができるのかを見たいという思いでHYAKKATENを作成しました。
実際やってみて、重ゲーを作るのは本当に大変だなぁとひしひしと感じております。

さけ
さけ

ほほう、それでは今回のこのゲームシステムはどのように思いついたのでしょうか!?

エル
エル

そうですね、このゲームのシステムとして大きく分けると
1.店舗の購入&配置
2.エスカレーターでの経路作成
3.客層コマを動かす権利の競り
4.客層コマの移動による収入
かと思いますが特徴的な3.4.に関して言うと

3に関しては、製作終盤までもっと違った形式のシステムとなっていて
競りではなく一番必要な金額が高い人からお金を払うならばコマを動かす権利を得る。という感じでした。
毎ラウンド同じ人が同じコマを動かすのは抑制したいと考えていたので、そのルール事態は悪くはなかったのですが
この状態でテストプレイに持って行った時に、お金を持っているのにずっとコマを動かせないという不満点が出ました。
そこでテストプレイをしていただいた方に、競りにしたらどうだろう?という鶴の一声があり、競り+連続して動かそうとすると沢山のお金が必要を実現するために、
今回のシステムとなりました。
そういう経緯もあって競りで金額を提示しにくいお札のコンポーネントとなって申し訳ありません。

エル
エル

4に関しては、他のプレイヤーが所有している店舗にお客を誘導してあげてでもお客を移動させたいという事を実現するために
どのようにしたら、気持ち良くお客を通せるかという事を意識して一番プレイヤーがもらってうれしいVPを報酬として得られるようにしました。
他のプレイヤーが¥3や¥4を手に入れている中1VP+お金が手に入れば動かす方も他のプレイヤーの店舗を通るであろう。という思惑です。

さけ
さけ

紙幣については味があって良いのでは!
まあ一斉競りなので両手で数を出しつつ声を出せば大丈夫でした笑
今回のそういった紙幣もそうですが、苦労された点、こだわったところを教えて下さい。

エル
エル

ええ、まずは、金銭感覚の調整はすごく苦労しました。
初めの頃は、毎ラウンド¥40や¥50が手に入って支出が¥10みたいな感じのバランスとなっていて、とりあえずお金突っ込んでおけばいいねんという感じを払拭するのが大変でした。
こだわった点としては、
わかる人にはわかると思うのですが、最後の見た目は某コンピューターゲームのような見た目にしたいというのがありそれのような見た目になる所がこだわったところです。

さけ
さけ

それでは最後に一言お願い致します!

エル
エル

NSGクリエイトとしては初めての1時間級のゲームとなりましたが、初めて1時間級のゲームに触れるようなライトなプレイヤーでも楽しめるような調整にしたつもりです。
最後の最後までいい塩梅に落とし込むのが非常に難しかったですが、これを足場にもっと歯ごたえのあるゲームにも挑戦していただければと思います。

ゲーム性、戦略について感じたこと

感じたこと、戦略についてお話したことのまとめとなります。プレイ後に御覧ください。
こちらはプレイ後の理解度を高めるための質問・意見であり、雑談等はすべて省き淡々と書き連ねております。高飛車な感じになってしまっているので、そういうのがお嫌いな方もいらっしゃるかと思いますので、回れ右でお願いいたします笑

エスカレータとサイコロ

勝利を全プレイヤーが求める時、エスカレータをほとんど作らない方が勝ちやすいというところが気になりました。後は本ゲームはかなりサイコロゲーというのが全員の共通認識でした。

ゲーム開始時に攻略として行ったのは下記の通りです。
自分の広告が最下位の色を確認
その色のテナントを獲得(特に序盤-中盤は基本収入が最上位のプライオリティ)、どん詰まり(最後にたどり着くようにする)になるよう(かつ階段付近であれば好ましい)にタイルを配置。
その色の優先権を得て、出来る限り周りのプレイヤーのタイルに移動しないように2-3で移動を終える。
-終盤まで繰り返し-
最後のラウンドでは出来る限りお金を貯め(前ラウンドは一切投資に参加しなくともOK)、他プレイヤーが今まで作り出したVP獲得の経路で一番VPが高い経路を算出して全投資を行う、という組み立て方で何度か堅実に勝てたように思えます。

これは説明書後述の指南書とは逆のプレイですが、指南書通りにプレイしたプレイヤーより点数が伸びる結果となりました。

「エスカレーターをほとんど作らない」という理由は相手に有益性を持たせず確実に自分へ収益を持たせるためです。擬似的にサイコロの出目を追加するものがエスカレータのシステムかと思いますが、勝利点に影響せず、他プレイヤーの手助けとなり、サイコロの出目や競りの結果次第で確実に利用できるかわからない、という多くの条件からほとんどのプレイヤーは作らない傾向にあるように感じました。特に序盤は作る必要性が無いように思えます。

そのためエスカレータを作るよりも確実に出目2以内で1VPとお金が得られ、かつ他プレイヤーにお金が渡らないような移動経路の作成が序盤-中盤は非常に強力でした。

例えばですが、テナントタイル獲得前に5金を支払うことで+1マス追加可能等であればダイスと戦略の融和性があります。今の場合、いかなる戦略を持ってしても最後のダイスの目に左右されてしまうのでもったいなく思いました。
他にも、例えばエレベータ利用時にエレベータを制作したプレイヤーに1金を支払う、もしくは銀行から得る、等があればもっと積極的にエレベータが立ち、本当の百貨店のようにお客が色々と店を巡るのではという意見もありました。

テナントの損得差の大きさ

スタートプレイヤーを決められないので、これが非常に運でした。
意図して作られているものと思われますが、スタートプレイヤーがずっと時計回りのため、上段下段で次回の予測が立てられるものの、2金の差額であればオトクな店舗は必ず買われてしましました。

製作者様回答

エスカレーターに関して
舞台となる百貨店が階段を使って上階や下階に降りるためにつづら折りになっているのは、
その効率の悪さをエスカレーターを使って解消できるという立ち位置にしました。
※エスカレーターがない場合、1Fエントランスから2Fの左端の店舗に行くためにはダイス目が5以上必要になってしまうのでダイス目がどんな目でもたどりつけるようにエスカレーターを設置するわけです。

サイコロに関して
これに関しては自分の好みではあるのですが、どんな戦略ゲームでも予期せぬ出来事やギャンブル的な要素は欲しいなというのが理由です。
さすがに毎回6が出る事を期待するわけではないですが、さすがに3以上は出るだろう→うわー2だった!というような流れや、まあせいぜい4だよな→6出た!ラッキー!ここも通ろう!という一喜一憂がしたいのでダイスを採用しました。
均等な倍率となっているのは、そういった事が1ゲーム内で1人に対して1回か2回は起こるようにしたかった為今回はダイス1個といたしました。

テナントの損得差
スタートプレイヤーに関しては、これも悩んだ点でした。
ゲームの内容に応じてスタートプレイヤーが自動的に決まるような仕組みを
いろいろ試しては見たのですがそのどれもが、スタートプレイヤーを得る為に
あまり勝利に近づかないような行動をとらなければならなかった為、
自分の手番がどの順番でやってくるのかが明確になっている時計回りを採用しました。
後は、スタートプレイヤーを取る為にプレイヤーが行う事を1つ増やしてしまうのも要素が過多にならないか危惧した一面もあります。

最後に
ちょっと意図的に運の要素を強めとしていますが、ガチガチの戦略ゲーとしての調整も
できるとは思います。そういった形の上級ルールも用意できたらなと思います。

さけ
さけ

色々と書きましたが、運によるところもこのゲームの良さ、素晴らしさでもあります。
難しそうだな、と気負いせず気軽に手にとって楽しめる作品であることをお薦め致します。

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