コンポーネントに酔いしれて、戦略にゆったり溺れる「箱庭の国」

ゲームマーケット 箱庭の国

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ゲームマーケット2016秋 同人ボードゲーム「箱庭の国」の新追加ルールのレビュー感想です。

デザイン はくし
イラスト
人数 2~2人
時間 10~20分
年齢 12歳~
価格 2000円
発売 2016春
難易度 超簡単 [簡単] 普通 難しい

テーマ

廃墟の城にある「庭園」に住む者が居る。
その者は庭園にある玉座に腰掛け庭を眺める。
季節の風と話し、草花の歌を聴き、種を運ぶ虫と戯れる。

その者は庭師の王と呼ばれており、配達人は花の妖精だと、町角の定食屋の老婆は歳をとらぬ子どもだとも言う。
けっきょく、誰ひとりとしてその者の姿を見た人間は居ないのだが、庭師は確実にそこに存在して、科学だろうがなんだろうが、特に人々は気に留めないのであった。
気にも留めないのだが、そこへは近づいてはいけない、と囁かれるのであった。
ただし、これは子どもが悪いことをしたときの「しつけ」のようなものであって、やはり人々は気にも留めないのだ。

ある晩のこと、1人の少年が庭師の王の正体を見にいくことを決める。
晴れやかな朝、すこしばかりの湿気がほどよく肌にふれる。
少年は気分良く家を出た。

途中、駆け足だったせいで躓きそうになったが、そういうばこんなこともあったかなと思いながら、さらに足を早めて急いで向かう。

大きな門のすぐ左、ちょうど少年がくぐり抜けられる程の穴があり、そこをくぐって中に入る。

庭園に近づくと、―おそらくは「庭師の王」が遠くで玉座に腰掛けていた。

「よく来たね」

―その声は少し、自分に似ているような気がした。

プレイ

ゲームマーケット 箱庭の国

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箱庭の国は「庭師」を操り玉座を賭けて争うアブストラクトゲームです。
「庭園」ルールと「玉座」ルールがあり、今回は新作の「玉座」ルールでプレイします。
アブストラクト、と言うと「うーん苦手だなあ」という人いらっしゃるかもれませんが、アクションはカードで固定化されていますので先読みが分かりやすく、誰でも気軽に愉しめます。
というよりむしろ、アブストラクトが苦手という人が居ればぜひやってみて欲しいのです。

1.庭師の移動
2.アクション
実際はたったこれだけで、さらにアクションでは4枚あるアクションカードから一つを消費して、次は残りを使うので、手番毎に相手の行動も分かりやすい!

この仕組は2014年に出たボードゲーム「Onitama」にも似ていますね。

Onitama is a two-player, perfect information abstract game with a random starting set-up. On a 5x5 board, both players start with five pawns on their side, with...

ゲームマーケット 箱庭の国

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この箱庭の国の特徴としては「草木を生やして庭師にする」ことにあると思われます。
最初にある庭師は1つなのですが、その庭師はアクションによって徐々に増えていきます。
庭師のみ相手の駒を取ることが可能です。
そのため相手の駒を取りつつ、自分の庭師を増やすアクションをりようすることにより、攻防一体の戦略が愉しめます。

このアブストラクトの対面一対一でありながら、どのように駒を増やしていくかが大変魅力的で、なおかつこの庭師のテーマに似ているのでゲームをしつつこのデザインにうっとりします。
終わった後もまた良い。
ボードゲームの良さの一つ「終わった後の景観」を存分に取り入れています。

インタビュー

―「箱庭の国」、プレイ中もデザインの良さに酔いしれてしまいました。
よくみると駒がそれぞれ違う気がしたのですが、手作りなのでしょうか

コンポーネントは全て手作りです。
こだわった部分は、各部材の素材の選択です。
駒はオーブン粘土で、ボードは合皮の生地、カードに使う紙には風合いのある洋紙を選びました。
駒入れは、麻布の生地を使っています。
ボードゲームは手にとって繰り返し遊ぶものですから、頑丈で手触り感がよいことが各素材の選択基準です。

生産時は駒に一番時間がかかりますので、思い入れが一番強い部分は駒です。

―ここまで美しい立体物を全て手作りなのは驚きです・・・。ふと思ったのですが、アブストラクトにした「理由」は何かあるのでしょうか

アブストラクトゲームにした理由は、非公開情報を作りたくなかったからです。
今作では、初めからコンポーネントをすべて手作りすることに決めていました。
そのばあい、カードにせよタイルにせよ一つずつ微妙に特徴が出てしまいます。(いまはあまり気にしなくていいかなとも思いますが…)
このことを考えるうちに、ルールを調整する過程ですべての情報が公開されている種類のゲームになっていきました。
結果的に、コンポーネントをすべて高い精度で作る必要がなくなったおかげで、色々と選択の自由が生まれました。
カードに関しては、模様の入った風合いのある用紙が選べたことと、最初から手の内全てが公開されている仕様上、枚数や種類を最小限に削れた点で特にこの恩恵を受けていま
(はじめは何十枚もカードを付けて、ランダムサプライする計画でしたが、それにはカードを印刷に出す事が前提になります。)

―このアクションカード4枚というのが多くもなく少なくもなく、ちょうどよく、このボードゲームの良い雰囲気を愉しめる余裕も感じました。お話を聞く限り、まるでこのボードゲームがそれを望んでいたかのような仕上がりになったのですね。

―本作から選択ルールとして「玉座」が追加されましたが、製作者さまとしては前作のルール「庭園」と「玉座」ではどちらがオススメでしょうか。なかなか答えづらい質問かもしれませんが笑

ぜひとも今回新たに制作した、「玉座」ルールで遊んでみていただきたいです!
「開拓」というアクションの持つ本当の可能性が味わえると思います。
「庭園」は、ルールというよりは使用するカードの内容にこだわりがあります。
効果範囲にかなり極端なバリエーションがあるので、盤上の局面がコロコロと変わります。

感想

ゲームマーケット 箱庭の国

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手前味噌ですがまさに命題の通りのボードゲーム。
コンポーネントの良さもさることながら、きちんとアブストラクトとして機能している本作は携帯性にも優れており、店舗側が許すなら小洒落た喫茶店でのプレイもまた雰囲気を助長してくれるでしょう。
既に予約数も達しており、前回もすぐに完売していたと思い出しました。

あまりこのような素敵なボードゲームに対して値段を言うのは邪道ですが、2000円。

駒の質感なども考慮した美しいコンポーネント。

高いか安いか、言うまでもありません。

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