アブストラクトは笑えない、面白いから「ブルータス」

ゲムマ2019秋 新作「ブルータス」のレビューや感想です。

はじめに

簡単なルールですから、感想を交えてお話することと致します。

こちらはオセロとはさみ将棋の合体作と言えば想像しやすいかと思います。
ルールについては下記URLに記載があるのでご覧ください。

https://www.asatamin.com/post/%E8%87%AA%E4%BD%9C%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%80%8E%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%80%8F%E3%81%AE%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AB

駒は全方向1マス進んで、縦横斜めで相手の駒が裏返れば自分の駒となります。
キングは動かせず、キングを取るか、相手の駒を全て取れば勝利です。

盤面が5*7とかなり狭いため、取って取り返しての連続が起きず、取られた(寝返った)時点でほぼ負けです。

1駒寝返るだけで戦況は相手に断然有利となります。

正直寝返った時、笑顔で「ブルータスお前もか」とか冗談言えません。

「とりあえずこんなゲームかあ」という具合でテキトーにハイ次―、って感じなら「(あ、裏切られた負けだな)ブルータスお前もか笑」みたいなことは有りえますけれど、こちとら真剣に「何が楽しいのか」を記事にする身なので、

「ダメだ、難しい」

と顔面蒼白で挑んでおりました。

このゲームの良さは笑えないことが魅力の一つだと、私は大きな声で伝えたいです。

なんでもかんでも笑って楽しいがボードゲームの魅力ではありません(きっぱり)

話は逸れましたが、実は大判が今年の春に販売されていたものを購入しており、今回はそのご縁でお声がけいただいたのですが、旧版はルールに千日手問題があり、やや困っておりました。

千日手とは

少しだけルールが複雑なところがあり、またここがおそらく旧版との違いなのですが、
このゲームには「ジャンプ」があります。
自軍の駒の前に相手の駒が居るのであれば、「そこを飛び越してその先へ置く」ことが可能です。

最初にこのゲームを見た時、お互いが膠着状態になったら千日手ばかりになってつまらないのでは?という考えが私や友人にありました。

千日手とはお互いが同じ手を繰り返し、両者膠着状態になることです。
こういったアブストラクトゲームではこの部分が非常に肝となり、制作する際に一番懸念すべきところとなります。
例えば駒を増大し限りある盤面を圧迫したり、逆に駒を減らして選択肢を減少させたりと「収束」というシステムをいかに落とし込むかが難しい。

しかしながら、この特殊な動きのルールのおかげで、いくつかの種類の定石生まれる仕組みとなっております。

通常であれば1マスごと(もしくは2マス)の移動は極端に手数が決まってしまい、
思考の限界に行き着けば両者千日手が起きて、防衛が続き膠着状態となりましょう。

いや、本当のことを言ってしまえば、将棋倶楽部の方たちにお願いして対戦していく中で千日手に近い定石のようなものを見つけたのですが、それでもまだまだ解明の余地があり、「こうしたらこうなる?」「あーしたらこうでしょ」というコトバの掛け合いが、私自身一人でいるときも、お友達と遊ぶときも、何とも奥ゆかしい時間なのです。

アブストラクトと言えば、オセロやチェス、将棋等、そこに携わるプロがいらっしゃり、私などでは到底歯が立ちません。

ただ彼ら彼女らを見ていて思うことは、将棋の盤面を覗いてこういった会話が出来ることは、何とも楽しそうで羨ましいと常々思うのです。

アブストラクトゲームは難しさが愉しさだ

正直に申し上げますと、千日手はお互いがある程度繰り返して遊べば起こりうる作品です。理由と致しましては強い陣形が存在し、それが分かるやいなや同様の陣形を作り、「攻め」を行わずひたすらその陣形を作っては戻してを繰り返し一向に進まない時が必ず一度存在致します。進んだら負けるからです。
ゲームシステム上での解決ではなく、全てはプレイヤー間のモラルに委ねられているためです。

しかしながら今回の「ブルータス」には定石も、もちろんそれに携わるプロフェッショナルも今はありません。

自由に研究し放題です。

勝ち負けよりも、それまでの研究や話し合いの時間が一番楽しいはずです。

お互いが「解」を見つけるまでの壮大な謎解きとしていかがでしょうか。

インタビュー

今回のようなアブストラクト(完全情報ゲーム)を選んだ理由をお聞かせ下さい

浅民
浅民

内容を入力週間でゲームを作る課題、みたいなものがありまして、そこで思いついたゲームが偶然アブストラクトだったから……です。

さけ
さけ

千日手の対策についてはどのような考えがありましたか。

浅民
浅民

対策らしい対策はありませんでした。前回のバージョンと少しルールを変えたのですが、それが対策になってしまったのかなと。

ゲームの仕様上起こり得ないとは断言できないのですが、態々する理由がないのでは無いかと考えています。
片方が同じ手を繰り返したとしても、もう片方が有利に陣を組んだり出来るので。
双方が同じ行動を繰り返した際には、引き分けが落ち着いた形になるのかなと思ってます。

さけ
さけ

前版と比べて新しくなったところなどご紹介下さいください。

浅民
浅民

アイコンや説明書をとにかくわかりやすくしました。
ルールが簡単が故に、より遊んでもらいやすくなるように……と。
それからルールを少し変えて、駒の動かし方に幅が出るようにしました。
相手に選択肢を選ばせるような手を取りやすいようになりました。

さけ
さけ

皆様にお伝えしたいことがあればどうぞ!

浅民
浅民

アブストラクト系が好きな方には是非ともおすすめ。苦手な方でも遊びやすくなっているので一度遊んでみてください!

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